「赤汁」とは、赤い色素を持つ野菜と果実でできるジュース。抗酸化作用が高く、老化や美肌などに効果大! |
家で簡単に作れる栄養豊富な"赤汁"
現在、厚生労働省では、1日に約350gの野菜を食べることを推奨しています。しかし、実際にこの量を食事だけで確保するのはなかなか難しいもの。そこでお勧めしたいのが、コップ1杯(180ml)で、1日の野菜不足をほぼ解消することができる「赤汁」です。
「太陽と大地の恵みをいっぱいに受けて育ったトマトや赤ピーマンなど、赤い色をした野菜や果実は、ビタミンやミネラルなどが豊富です。生の野菜や果実を丸ごとミキサーにかけるだけの赤汁は、熱に弱いビタミンも壊れることがなく、栄養満点のドリンク」と医学博士の林泰さん。
特に注目したいのは、その栄養素。「赤野菜や果実の赤い色素成分であるリコピンやカプサンチン、β-カロテンには、強力な抗酸化作用があります。そのため、がんや脳卒中、糖尿病、老化などを発症させる一因ともいわれる活性酸素を抑制し、生活習慣病を防ぐ効果があります」(林さん)
もちろん、1種類の素材のみでも栄養補給は可能ですが、数種類の赤い野菜や果実をミックスすることで、様々な栄養素を摂取でき、相乗効果はさらにアップします。ただ、果実を使用した赤汁は、野菜だけで作ったものよりも糖分を多く含むため、飲みすぎると肥満を招く原因にもなるので、ご注意を。
毎日1杯の習慣で、健康な体をキープ
市販の赤い野菜や果実を使ったドリンクは携帯しやすく、いつでも栄養補給ができるのが魅力。しかし中には、保存料や添加物が含まれるものもあり、成分表示を確認することが大切です。その点、手作りの赤汁は材料を自分で選べ、好みの味にできるのがメリット。
「今回紹介する赤い野菜や果実は、すべて皮や種にも栄養価があるため、丸ごと使うのが理想的です。そのため、皮ごと食べても安心、かつ栄養価の高い無農薬や有機栽培の野菜や果実の入手をお勧めします」と林さん。無農薬や有機栽培の野菜や果実が手に入らない場合、皮はしっかりと洗ってからミキサーにかけるほうが体によいのは、言うまでもありません。
おいしい赤汁にするポイントは、より新鮮な素材を使うことです。さらに、「夏季は冷たくして飲むとおいしく感じるもの。氷を入れると味や栄養価が薄くなってしまうので、材料を冷蔵庫でよく冷やすとよいでしょう。ただ、冷え性、下痢気味の人は、冷し過ぎると症状が悪化することもあるので気をつけて下さい」(林さん)
また、赤汁は作ってから20分以内には飲みましょう。時間が経つにつれて酸化で変色し、栄養成分も徐々に損なわれます。ライフスタイルに合わせて作り置きしたい時には、保存容器やチャック付きビニールなどに入れて冷凍庫で保存します。飲む時は、栄養成分を壊さないように自然解凍をして下さい。
健康維持のために、毎朝1杯の赤汁。今日から早速始めてみて!
8つの赤い野菜と果実の効用を知りましょう
数多くある野菜や果物の中でも、赤い色素を持つ注目の素材は8つ。各栄養成分と購入する時の上手な選び方を紹介します。
赤ピーマン
"カプサンチン"を多く含み、疲労の蓄積を防ぐ
赤色素カロテノイドの一種、カプサンチンが豊富。ぶどうや春菊など、ポリフェノールを含むものと一緒に摂取することで、抗酸化作用をアップ。また、LDL(悪玉)コレステロールによる血管の老化を防ぎ、疲れにくい体にする効果が。赤ピーマン2個で1日に必要なビタミンCを摂取できる
【選び方】発色がよく、ハリとツヤがあるものを
トマト
強力な抗酸化作用を持つ"リコピン"がたっぷり
がんや老化の原因となる活性酸素を除去する赤色素のカロテノイドの一種、リコピンを多く含む。抗がん作用をはじめ、ダイエットや美肌効果もある。完熟して赤色が濃いトマトほどリコピンが多く含まれる。1日に摂取したい目安は15mg(トマト大約500g 相当)
【選び方】まんべんなく赤く、へたがしなびてないものが◎
紫芋
目や消火器の症状に効く、"アントシアニン"
最近、スーパーでも見かけるようになった中身が深い紫色の芋。通常の芋よりもビタミンやミネラルが豊富。また、抗酸化作用を持つ紫色素フラボノイドとポリフェノールの一種であるアントシアニンを多く含むため、眼精疲労の改善など、目や消火器の症状に効果がある
【選び方】皮に傷が少なく、ふっくら太ったものを。旬は秋のため、入手困難な場合は紫キャベツで代用を
にんじん
"β-カロテン"が豊富で万病の妙薬といわれる
体内に入ると、必要量だけビタミンAに変化するβ-カロテンを多く含む。不足すると夜盲症の原因になるため、十分に摂取を(約50gで成人の1日に必要な量を摂取できる)。がんや老化予防の他、メラニン色素を抑制し、シミやそばかすを防ぐ効果も
【選び方】凹凸がなく、表面が滑らか。また、色が濃いものを
アセロラ
美肌効果を期待できる"ビタミンC"がたっぷり
ウイルスの繁殖を抑え、風邪やがんを予防。また、細胞を丈夫にするコラーゲンの生成を助け、メラニン色素の増加を抑えるため、美肌の効果がある
【選び方】収穫後約3時間で傷み始めるため、入手が困難。冷凍品(アセロラ倶楽部http://www.rakuten.co.jp/aserola/450606/
などで購入可能)や無添加100%ジュースで代用。
ぶどう
皮に含まれる"ポリフェノール"が老化を予防
植物が光合成をする時にできる色素、かつ苦み成分であるポリフェノールを皮の付近に多く含む。抗酸化作用があり、老化などを予防。種にはオレイン酸などの有機酸を数種含み、腸内を弱酸性にするため、大腸がんを予防。種ごとミキサーにかけて
【選び方】皮の色が濃くハリがあるもの。表面に白い粉(果粉)がムラなく付いているものがよい
紫キャベツ
天然の胃腸薬、"ビタミンU"が積極的に摂れる
緑のキャベツに比べ、ビタミンCと食物繊維が豊富で、美肌効果と便秘の改善に効果的。また、ビタミンUを多く含むため、胃腸の粘膜の代謝をよくするなど、強力な健胃・整腸効果を発揮。紫色の主成分、アントシアニンが疲れ目にもよい
【選び方】重量感があり、表面に傷が少なく、葉の巻きが固いものを
りんご
便秘や下痢などの症状に効く"ペクチン"
整腸作用とともに、腸内のコレステロールを排出する働きがあるペクチンを多く含む。皮に多く含まれるので、皮ごと摂取するのが望ましい。生活習慣病を予防する効果も。また、食欲を促すりんご酸やクエン酸なども豊富。繊維がやわらかく、消化がよい
【選び方】赤色が均一で、指で弾いた時に高い音がするものを
監修/医学博士 林 泰 さん
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