にんにくがスタミナ食品ということは、古くからいわれている。本当にそんな効果があるのだろうか。私はかつてNHKテレビ「ウルトラアイ」に出演し、それを確かめた。
20人の青年を半数に分け、1週間にわたって1群にはにんにくを1日に生なら1片、加熱したものなら3、4片を料理に入れて美味しく食べてもらった。もう1群はにんにくを全くとっていない。
そして両群に鉄棒にぶら下がる耐久実験を行ったところ、にんにくをとっていない群は10人共に2分間で落ちてしまった。一方にんにく群は10人中5人が3分近くねばり、スタミナアップの傾向がみられた。他にニンニクには各種の病気の予防治療効果がある。
まず抗菌作用、抗生物質のなかったころは赤痢やコレラなどの治療に使用された。これは生にんにくを食べた時にできるアリシンの働きによる。その他の働きとして、抗疲労作用やがんを抑えたり、血中総コレステロール値や血圧を下げたり、血栓のできるのを抑えたりする働きなどがある。
これはアリシンとさらにこれを加熱するなどしてできるスルフィッド類によると考えられている。
これらの効果を得るためのにんにくの適量は、スタミナ実験の場合と同じくらいの量でよいとされている。焼き肉、キムチ、ナムルといった、にんにくを美味しくたくさんとるバランスのとれた韓国の食事は、まさに医食同源の食事といえよう。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2005.3.12 日本経済新聞