筋トレと有酸素運動交互
サーキットエクササイズ
疲れもたまらず

運動でダイエットしようと思ったら、あなたはどんな方法を選ぶだろうか?

ダイエット法としての運動は、大きく2種類に分かれる。ウオーキングや水泳のような持久的な運動で体脂肪を燃やす「有酸素運動」と、腹筋やダンベル、マシントレーニングなどで筋肉を鍛えて代謝を高める「筋力トレーニング(筋トレ)」だ。たいていは、どちらか一方を選ぶだろう。

ところが、この2種類を30秒間隔で交互に行うとダイエット効果が高まるという。この考え方に基づくのが、米国から上陸した「サーキットエクササイズ」だ。

埼玉県川口市にあるサーキットエクササイズ専用のジム「クイックフィットBM30」は、器具の配置が普通のジムと違う。筋トレ用のマシンと有酸素運動の踏み台(ステップ台)が、交互に円形に並ぶのだ。

この施設は女性専用。やってきた参加者たちは空いているマシンに座り、それぞれのペースで運動をスタート。30秒後ごとに、筋トレ、ステップ台、筋トレ、ステップ台……と繰り返すわけだ。

壁には30秒をカウントする大きな電光掲示板。そして円の中央には女性トレーナーが立ち、手拍子をしながら「はい、あと5秒」などと声をかける。

一見大変そうだが、実際にやってみると、1つの運動は30秒しかないので、疲れる前に次へ進み、思ったほどきつくない。

夢中で駆け回っているうちにどんどん汗が吹き出てきて、あっという間に30分が過ぎた。この間にサークルを3周。これが標準コースだという。

「例えば腹筋運動だけを30分続けるのはとても大変。でもサーキットなら、鍛える筋肉が30秒ごとに変わるので疲労が残りにくく、30分でも意外に楽」と、このジムを開設したボディメンテナンス学院長の饗庭秀直さん。

筋トレマシンは、全身がくまなく鍛えられるように配置。さらに間に挟む有酸素運動で、たまりかけた疲労物質と体脂肪を燃やす。つまり、有酸素運動と筋トレの「いいとこ取り」というわけだ。

高校生の娘と一緒に通い始めて3カ月という主婦のAさん(44)は、「娘の体脂肪は最初の1カ月で5ポイントも減った」と話す。自分は肌荒れや不眠など、気になっていた不調もすっかり改善したという。「普通のジムでは、30分でこんなに汗を流せない。この運動なら短時間でスッキリできる」

発信元の米国では、「一般のジムはトレーニング愛好家が集まりがちで通いにくい」という女性向けに、「短時間で脂肪が燃える」「低価格」「女性が通いやすい」などとアピールしたのが受けた。今や全米でコンビニエンスストアに匹敵する数の専門ジムがあるという。

日本でも専門ジムが次々オープン。多くは女性専用だ。計量器のメーカーのタニタは「フィッツ・ミー」という名称で、都内と名古屋市内に4店舗を運営する。ほかに、都内と神戸市に3店舗の「ボディーズ」、関西を中心に10店舗の「Jサーキット」、九州を中心に11店舗展開する「Bライン」などがある。

さらに、サーキット専門ジムを世界で9千店舗以上展開する世界最大手のカーブスが、この夏、都内に3店舗をオープンした。「来年には本格的に全国展開の予定」(カーブスジャパン)

ジムが近所になくても、腹筋やスクワットといった何種類かの筋トレを組み合わせれば、サーキットエクササイズは自宅でもできる。大切なのは筋トレと「その場足踏み」のような有酸素運動を30秒ずつ交互に行うこと。まずはイラストのような筋トレ3種目プラス有酸素3回を3周(約10分間)やってみよう。これだけでもけっこう汗をかき、そう快だ。
(日経ヘルス編集部)


自宅でできるサーキットエクササイズの例
(1種目30秒。1周3分×3周が基本
(1)から時計回りで進める)

(1)筋トレ…腹筋
ひざを曲げる
あごをひいてへそをみる
足はおさえない
背中を丸めて息をはきながら体をおこす

(2)有酸素運動…その場足踏み 
ひざを高く上げうでを大きく振る
(3)筋トレ…スクワット
腕を前へ
息をはきながら降ろす
お尻をうしろに突き出す
ひざがつま先より前に出ない
(4)有酸素運動…その場足踏み
(5)筋トレ…腕立て伏せ
持ち上げるときに息をはく
30秒続けられないひとはひざをおろして行う
(6)有酸素運動…その場足踏み



2005.9.3 日本経済新聞