●成因と予防●
生活習慣病とは
以前は成人病と呼ばれていましたのを最近、厚生省は生活習慣によって起り易い病気という意味でこのように呼ぶように提唱しました。
生活習慣病は高血圧症、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満症、動脈硬化症つまり脳血管障害、冠動脈疾患などの総称です。
生活習慣病と危険因子
高血圧や糖尿病などの発症の危険因子はいろいろあり、ほとんど分かっていてその対策も具体的にきまっています。たとえば高血圧と食塩との関係では、1日当たり摂取量
が10g以上の人と10g以下の人では明らかに発症の割合が違っています。それ故に、高血圧の人では1日当たり6gを目標としています。その結果
血圧のくすりの服用量も少なくて有効となることも明らかです。その他の危険因子である生活習慣を改善すれば血圧をよくコントロールできます。
糖尿病では1日当たりの総カロリー量や三大栄養素、その他の栄養素を決められた割合でバランスよく摂れば
血糖のコントロールは容易となります。勿論食事だけでなく、薬物療法、運動療法と生活習慣の改善を行って初めて達せられます。
高脂血症は4つのタイプに分けられていますが、総コレステロールが高いタイプ、総コレステレールと中性脂肪が共に高いタイプ、中性脂肪のみ高いタイプがあります。そのうちで、悪玉
コレステロールのみ特異的に高いタイプがあります。
これは家族性で、いわゆる習慣病とは異なり遺伝病の一種です。このタイプ以外は殆どが生活習慣病です。すなわち高脂血症も食事や運動などの生活習慣を注意すればコントロールが一般
的によくなります。 また高尿酸血症についても同じことが言えます。すなわち、尿酸はプリン体という必要不可欠の物質の最終産物ですから、これを多く含む食物をある程度少なく摂ったり、飲酒を控えたりすれば尿酸値は下がり、痛風発作の危険性は軽減されます。
生活習慣病と遺伝子
遺伝病は遺伝子と最も深く係わっていますが、1つ1つとは限らず、複数の遺伝子が関係していることが分かってきました。また、最近では体質や生活習慣病に関与している遺伝子が次々と見つかっています。
これらの生活習慣病は複数の遺伝子が係わっていますが、発病や体質には前に述べたさまざまな因子が関係しています。
冠動脈硬化の危険因子とPPA受容体蛋白
フランスの研究者が1990年にステロイドホルモンなどの受容体蛋白に似たある種の蛋白の遺伝子を発見しました。このPPA受容体蛋白は肝細胞などである種の薬物や脂肪酸、プロスタグランディンなどと結合します。その結果
遺伝子活性を制御して血糖や脂肪の代謝やインスリン抵抗性、肥満や血圧などにも関係すると考えられています。この他、生活習慣病に係わる遺伝子の以上やその代謝などを促進したり、抑制したりする蛋白や物質、関連する遺伝子が次々と多数見つけられています。
(2000.9.1医院新聞)