美容ウォーキング
太ももの内側鍛えて

日々暑さが増すこの季節、女性がスカート姿を選ぶ機会も増える。夏を楽しむそんなとき、彼女たちが気にすることの1つが脚のラインかもしれない。この脚のライン、そうそう簡単に変えられるものではないが、独特なウオーキング手法を実戦することでO脚を和らげたり、脚をシェイプアップしてすらりと見せることは可能なようだ。

「厳しい決まりごとは特に決めず、気軽にバレエ特有の動きを楽しむことから始めてほしい」
東京バレエ団でプリマドンナを務めた遠藤千春さんはそう話す。遠藤さんはバレエの動きを採り入れた「バレエ・ウオーキング」を提唱し、今年4月から東京都内でレッスンを始めている。

つま先立ちでも
基本になるのはひざを伸ばして足を外向きに開き加減にし、かかとを上げて歩く「バレエ歩き」。足先全体に重心を乗せるのがポイントだ。ふくらはぎの筋肉に負荷がかかっているのが実感できるはずだ。ふくらはぎや足首を引き締め、垂れたお尻を引き上げる効果があるという。

ちょっと難しいのは「アチュード」というバレエの基本ポーズを応用したウオーキング(イラスト参照)だ。
その方法は
1.ひざを伸ばして両足をそれぞれ正面から約45度ずつ開いて立つ
2.足首を伸ばし片方のつま先を床や地面に向けた状態で太ももを上げる。曲げたひざは外側に
3. Bそのまま足を踏み出し着地する。着地した足は約45度外向きのまま――というもの。

太ももの内側の筋肉を使うので、両ひざの間にすき間のないまっすぐな脚にすることができるという。

常にこの歩き方を続けるのは無理だが「初めは15分程度続けて」と遠藤さん。さらに「電車内や台所での立ち仕事中につま先立ちするだけでも美脚効果がある」と話す。

一方、ファッションモデルの経験をもつスパークラーズ(東京・港)社長の小村ユミさんは「エレガントウオーキング」を東京のスタジオや企業の研修で教えている。

歩き始める前に体がゆがんでないかをチェックするのが小村さんの流儀。まっすぐに立てなければ腰や背中の骨がゆがんでまっすぐに歩けず、ウオーキングの効用も低下してしまうからだ。

鏡で簡単チェック
簡単にできるチェック方法は、鏡の前に立って左右の肩が水平けどうかや、あごが胸の谷間の真上にきているかどうかを調べること。目をつぶって50歩踏み出してみて、目を開けたときに左右のどちらかに体がむいていればその方向に背中がゆがんでいる可能性が高いという。

エレガントウオーキングもバレエウオーキングと同様に、太ももの内側の筋肉を使うことを重視する。小村さんは「歩くとき、太ももの筋肉を極力使わないようにすることが大切」と話す。太ももの筋肉の内側と外側の両方を使うのが理想的だが、実際には外側を使う人が圧倒的に多く、内側の筋肉を使えば、O脚などを緩める効果があるという。

内側の筋肉を使う歩行法のポイントは次の3点だ。
1.体重を足の親指と人差し指の付け根付近にかける
2.座骨を中央に寄せるようにする。具体的には内またにならない程度に両太ももの内側を引き寄せ合うようにする
3.太ももの後ろを外側から内側に回すような気持ちを保って歩く――。

小村さんは「すべてのポイントを同時に意識しながら歩くのは最初のうちは難しい。まず横断歩道を渡るときなど、日常生活のちょっとした場面で実践することを心がけるといい」と語る。脚がすらりとしたことで、内側にも自信が持てるようになったと話す生徒も目立つという。

こうしたトレーニング手法について、ヒロ整形クリニック(愛知県長久手町)の勝野浩院長は「太ももの内側の筋肉を鍛えることはO脚の矯正につながる。両ひざをくっつける感じで一直線に歩けば太ももの内側に負担がかかり、脚をきれいにみせることができるだろう」と効能を分析していた。




アチュードを応用したウオーキングのフォーム

1.足首を伸ばし太ももを上げひざは外側、ひざから下は内側を向けて足を踏み出す
足は約45度に開く
つま先は床に向ける

2.軸足のひざは伸ばしたまま着地する
着地した足は約45度外側に


エレガントウォーキングのポイント

1.体重は足の親指と人さし指の付け根付近にかける

2. 両方の太ももを近付けることで座骨を中央に寄せる
太ももの後ろは外から内に回すような感覚で





2006.6.10 日本経済新聞