汗をかくなど、目の周りが何かと不衛生になりやすい季節。紫外線にもさらされやすく目には負担が増える。プールで目の病気をうつされることも増えてくる。病気の予防法や、目をケアする方法を探った。
夏場は目薬が売れる。ロート製薬では「花粉が飛散するシーズンに次いで販売量が多い」という。参天製薬も目薬は、他の月に比べて3割前後増える」という。
まず、夏に流行しやすいのが結膜炎だ。目の表面にある粘膜、結膜が炎症を起こす病気の総称だ。充血したり、目やにが出たりする。
これは細菌やウイルス、花粉やハウスダストなどが原因となる。東京医科大学眼科学教室の後藤浩主任教授は「細菌が原因なら目薬ですぐ治る場合が多いが、ウイルスの場合は特効薬がないため、一度かかると10日から2週間程度症状が続く」と話す。
ウイルス性のものはプールなどで感染経路が拡大するため、夏に流行しやすい。「はやり目」と呼ばれる「流行性角結膜炎」や、発熱を伴い「プール熱」と呼ばれる「いんとう結膜熱」などだ。
症状は、細菌性のものと似ており、見た目だけでは区別できないことが多い。後藤教授は「結膜炎の症状が出たら、できるだけ早く病院に行くのがいい」と話す。眼科に行けば、簡単な検査でウイルス性かチェックできる。
「ものもらい」も身近な目の病気だ。名前と違い、人にうつらない。「めばちこ」など地域によってさまざまな呼び方があるが、「麦粒腫」と「さん粒腫」という2種類の目の病気を指す。なりやすいのは麦粒腫だ。まぶたの表面についた細菌が分泌腺に入って感染し、化膿(かのう)する。このため、まぶたのふちや内側が赤く腫れるなどの症状が出る。
市販の目薬を使えば、2、3日で症状が軽くなり、4、5日すると治る。ただ両国眼科クリニック(東京・墨田)の内野美樹院長は「市販の目薬でよくならない場合は眼科医に診てもらったほうがいい」という。子どもや老人で腫れが強いと、入院治療が必要な場合もある。
こうした目の病気を予防するにはどうしたらいいか。内野院長は「普段から汚れた手で目をこすらない習慣をつけておく必要がある」と話す。特に結膜炎は、手をよく洗って清潔に保つことが大切であり、ウイルスが落ちるようによく洗うのがポイントだ。
ものもらいの場合は、「まぶたの不衛生やコンタクトレンズの汚れなどがきっかけになる。免疫力が低下している時になりやすい」(内野院長)。
予防するには、前髪が目にかからないようにし、目の際にある脂腺がつまらないようにする。常日ごろから、目の周りをきれいに保つことが欠かせない。アイメークをしっかり落とすことも大事。「顔を洗った後、綿棒にベビーソープを浸して再度、目の縁を洗うといい」(内野院長)という。さらに温タオルを目の縁に当てると、脂腺が詰まりにくくなる。
ただ、ものもらいができている時は、温タオルを当てると炎症がひどくなる恐れがあるので避けたほうがいい。
もう1つ、夏場に気を付けたいのが紫外線。長時間日に当たると、紫外線で目の角膜が傷ついて目が焼けたような感じがすることがある。そのままにしても数日で治るが、薬局に行けば紫外線による炎症を抑える目薬がある。炎症を避けるには「できるだけサングラスをかけたほうがいい」(内野院長)という。
市販の目薬を使う場合は、用法・用量を守り「3、4時間ごとなど等間隔で点眼するといい」(ロート製薬)。手や指を清潔にして使い、容器の先が目に触れないようにする。他の人と共用することや、しばらく前に使用した物を使うのは避けた方がいい。
夏場は暑さで体力が低下しやすい。ウイルスの病気を防ぐためにも、抵抗力が落ちないよう規則正しい生活も心がけたい。また、目やにが出るなどの症状があったら、病気がうつることもあるので、タオルは別々に使う方がいい。
・せっけんでしっかり手を清潔にする
・コンタクトレンズを不潔な指で着脱しない
・目をこすらない
以上3項目はウイルスや細菌が目に入らないようにするための対策
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・前髪が目にかからないようにする
目を傷つけたり、雑菌が入ったりしないようにする方法 |
・アイメークをしっかり落とす
・顔を洗ったあと、ベビーソープで再度、目の縁を洗う
・温タオルを目の縁にあてる
以上3項目は、いずれも目の際の脂腺の循環を良くしておくための対策 |
・生活が不規則にならないようにする
免疫力低下を防ぐために欠かせない |
・長時間外に出るときはサングラスをかける
紫外線を効率よくカットして炎症を防ぐ |
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