◇せき、くしゃみで感染 肺炎、脳症など合併か
まず、インフルエンザと他の風邪の症状の違いを理解したい。
インフルエンザはインフルエンザウイルスが上気道(のど上部、鼻など)に感染して発症する。国内では毎年人口の約10%が医療機関を受診している。鼻水が出るなどの点で風邪の症状と似ているが、38度以上の高熱や頭痛を伴い、流行が始まると短期間で乳幼児から高齢者まで多くの人に広がる。
強毒性の鳥インフルエンザウイルス「H5N1」に感染した人では、せきや発熱など風邪に似た症状に加え、肺炎が急速に悪化するなど全身に感染することが知られている。鳥が感染した場合の致死率はほぼ100%。人は50%以上と高い。
一方、新型インフルエンザは、人などが感染したH5N1の遺伝子が体内で変異して、人から人に感染するタイプに変わり、せきやくしゃみを介して広がる。まだ発生していないため、どんな症状が出るか詳細は不明だが、免疫がない現状から肺炎や脳症などの合併症を起こすと考えられている。
毒性について、国立感染症研究所の岡田晴恵研究員(ワクチン学)は「H5N1と同程度の強毒性を維持する可能性が高い」と予想する。
これに対し、厚生労働省は05年の対策行動計画に最大で2%とする致死率を示した。2%は1918年に流行したスペイン風邪と同じ数値だ。
最も感染者が増えるのは致死率が20%近い場合とされる。毒性が強すぎると、感染者が死んでしまうためにウイルス自体も生き残れず勢力を拡大できないからだ。
岡田さんは「最悪の事態に備えて、対策を練ることが重要だ」と訴える。【関東晋慈】
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