呼吸器感染 新たな細菌発見
杏林大教授ら「キョーリネンス」命名
呼吸器に感染する新しい細菌を杏林大呼吸器内科の後藤元(はじめ)教授たちが世界で初めて発見し、米内科学会誌に報告した。
細菌は杏林大の名前にちなみ、「マイコバクテリアム・キョーリネンス」と命名された。
菌が見つかったのは、3年前に呼吸困難で入院した89歳の男性。長期間の喫煙による「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」を患っており、結核の感染歴もあった。検査で既存の細菌とは違うことがわかり、同大臨床検査部の渡辺卓教授らと岐阜大、大阪市立大が遺伝子解析を行ったところ、昨年、新しい細菌であることが確定した。
この菌は、結核菌の仲間で、すでに100種類以上が知られている抗酸菌の一種。どの程度の病原性があるかはまだ不明だが、慢性の呼吸器病のある人や免疫不全の人などでは重症化する可能性があるという。調査にあたった杏林大呼吸器内科の和田裕雄講師は「感染の実態や、最適な治療法を今後、早急に調べたい」と話している。
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