白髪の原因はDNA損傷 毛根の色素幹細胞が枯渇
老化やストレスで白髪になるのは、色素を作る細胞の元になる毛根部の「色素幹細胞」が、DNAの損傷を修復できずに枯渇してしまうのが原因であることを東京医科歯科大や金沢大などの研究チームがマウスの実験で突き止め、12日付の米医学誌セルに発表した。
白髪になる詳しい仕組みの解明は初めてで、予防法の開発につながる可能性がある。また、さまざまな幹細胞を利用する再生医療やアンチエイジング(抗加齢)への応用が期待されるという。
チームはこれまでの研究で、毛根の色素幹細胞が枯渇すると、やがて色素を作る細胞も無くなって白髪になることを見つけていたが、なぜ枯渇するのかは不明だった。
そこで、傷ついたDNAを修復する遺伝子を持たないマウスに放射線を当てて実験。すると、通常のマウスでは全く変化が起きないほどの、ごくわずかな放射線で体毛が白くなった。毛根部を調べると、色素幹細胞が色素を作る細胞に分化していることが分かった。
通常、色素幹細胞は自己を複製しながら、色素を作る細胞も生み出す。DNAの損傷を修復できないと自己複製機能が失われ、幹細胞がすべて分化してしまうために枯渇するらしい。
西村栄美(にしむら・えみ)東京医科歯科大教授は「DNAの損傷した幹細胞が死なずに分化するとは驚きだ。幹細胞を維持する仕組みを調べたい」と話している。
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