メタボリックシンドローム、仕組みを解明 免疫細胞が炎症誘発 東大、マウス実験で
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の原因となる内臓脂肪の炎症が起きる仕組みを、永井良三・東京大大学院医学系研究科教授らが、マウス実験で突き止めた。免疫細胞の一つ、Tリンパ球が炎症の引き金になっていた。メタボリックシンドロームの治療薬開発につながる成果という。26日付の米専門誌「ネイチャーメディスン」(電子版)に掲載される。
内臓脂肪が蓄積し、脂肪細胞が大きくなると、白血球の仲間のマクロファージなど免疫細胞が集まって慢性的な炎症が起きる。炎症によりインスリンの効きが悪くなることなどがマウス実験で分かっており、動脈硬化や糖尿病などにつながる。しかし、炎症の起きる仕組みはなぞだった。
永井教授らは、高脂肪食を与えた肥満マウスと通常の食事を与えたマウスを比較。その結果、肥満マウスは病原菌を撃退する「CD8陽性Tリンパ球」が、マクロファージより先に増えていた。
そこで、このリンパ球を減らしたり、存在しないマウスを作製して調べると、高脂肪食を与えても内臓脂肪組織に炎症が起きないことが判明した。さらに、一度炎症が起きたマウスから、このリンパ球を取り除くと、内臓脂肪の炎症が抑えられ、インスリンの効きが改善されることなども分かった。
真鍋一郎・東京大大学院医学系研究科特任准教授(循環器内科)は「このTリンパ球は免疫機能にとって重要で、すべてを除去するのは難しい。脂肪組織の肥満化によって、Tリンパ球を活性化させる物質を見つけられれば、それを制御することで、メタボリックシンドロームの治療薬開発につながる可能性がある」と話す。【河内敏康】
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