「B型インスリン抵抗症」、ピロリ菌除去で完治:なくそう・減らそう糖尿病
◇東北大大学院チームが成功
胃潰瘍(かいよう)などを引き起こすピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)を除去することで、糖尿病の一種「B型インスリン抵抗症」を完治させることに、東北大大学院の片桐秀樹教授(代謝学)らのチームが成功した。成功例はまだ1例だが、新たな治療法として普及すると期待される。
この病気では、免疫異常によって血糖値を下げるホルモン「インスリン」に対する抗体ができて、高血糖と低血糖を繰り返す。患者は、急に血糖値が下がると冷や汗や震えの症状を訴える。だが、通常の治療に使うインスリン注射などの効き目は悪く、治療法は確立されていない。数千人から数万人に1人が発症すると推定されている。
チームは、B型インスリン抵抗症の80代男性が、止血の働きをする血小板が減る「特発性血小板減少症(ITP)」を併発していることに注目した。ITP治療に有効なピロリ菌除去をすると、血糖値が正常に戻り抗体も完全になくなった。男性は1年後も糖尿病を再発せず、完治したと判断された。
片桐教授は「B型インスリン抵抗症の原因に、ピロリ菌の感染がかかわっている可能性がある。除菌が根治療法として効果的ではないか」と話す。
成果は18日付の英医学誌ランセットに掲載された。【比嘉洋】
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