歯周病はいろいろな生活習慣病に関係していることが分かってきました。
◆歯周病はいろいろな生活習慣病に関係していることが分かってきました。
◇糖尿病とは相互関係 歯磨き、定期検診で予防
◇心臓・循環器疾患や早産・低体重児出産にも影響
東京都葛飾区の主婦(60)は、治療を続けていた糖尿病が急激に悪化したため、主治医から日本大歯科病院(東京都千代田区)を紹介された。歯ぐきが真っ赤で歯がぐらぐらしており、歯周病との関係を指摘されたからだ。
同病院で歯周病の治療を受けた結果、過去1-2カ月の平均的な血糖の状態を示す血液検査値「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」の値が大幅に改善された。この主婦は「歯周病と糖尿病は相互に関係していると説明を受けたが、なるほどなあと思った」と話す。
歯周病は虫歯と並ぶ「歯科の二大疾患」で、歯や歯と歯ぐきの間に存在する細菌による感染症だ。プラークと呼ばれる細菌の固まりが歯肉に炎症を起こし、腫れたり出血したりして、重症化すれば最終的に歯が抜け落ちる。
同大歯学部の伊藤公一教授(特定非営利活動法人・日本歯周病学会理事長)によると、歯周病患者は糖尿病になりやすく、逆に糖尿病患者はそうでない人に比べて2倍以上の確率で歯周病にかかりやすい「相互関係」があるという。最近は、「網膜症」「腎症」「神経障害」などに続く糖尿病の6番目の合併症といわれるようになってきた。「糖尿病の状態が改善されない人は、ぜひ口腔(こうくう)内をチェックし、歯周病治療を受けてほしい」と話す。
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東京医科歯科大の和泉雄一教授(歯周病学)は東京都内で開かれた「生活習慣病の黒幕-それは歯周病!」(財団法人・東京顕微鏡院主催)と題した講演で、糖尿病以外にも感染性心内膜炎▽心臓・循環器疾患▽早産・低体重児出産▽細菌性肺炎--など、歯周病が全身の病気に影響している現実を報告した。
例えば歯周病の原因細菌やその破片が歯ぐきの傷口から血中に入り込むことなどで、血管に血栓がつくられ、心筋梗塞(こうそく)や狭心症などを引き起こす一因になっているという。
伊藤教授は「中-重度の歯周病患者では、炎症を起こしている(歯と歯肉の間の溝を指す)歯周ポケットの表面積は、手のひらの面積に相当する55-72平方センチにもなる。口の中にそれだけの(細菌や毒素の)入り口があるようなものだ」と説明する。歯周病の予防や治療は全身の健康や、妊娠・出産を通じて子孫の健康にも関係していると認識することが大切だという。
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歯周病の予防には、なんといっても毎日の歯磨きが欠かせない。東京都歯科衛生士会(文京区)によると、きちんと手入れするには歯ブラシ1本だけではなく、歯間ブラシやデンタルフロス(糸)で歯と歯の間の汚れを落としたり、奥歯を清掃しやすい部分みがき用のワンタフトブラシも使い、丁寧にケアをする必要がある。歯ブラシは「毛先が平面で3列に並んでいるのが使いやすい」という。
歯磨き粉を用いて磨くとさわやかな気分になるが、ブラシをきちんと当てないと汚れは落ちないので注意が必要だ。歯ブラシの柄をペンのように持ち、力を入れすぎないように歯に対して直角に当てる。力任せに磨くより、細かく振動させる方が汚れは落ちる。奥歯は磨きにくいが、手鏡を使って歯ブラシが届いているか確認しよう。
1カ所につき「数字でゆっくり10数えるくらいしっかり磨いてほしい」という。そして定期的にかかりつけの歯科医で口腔内をチェックしてもらい、歯磨きのアドバイスを受けたり歯石を除去してもらうことも大切だ。【江口一】
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■歯周病チェック(和泉教授の講演資料から)
□歯ぐきがむずむずしてかゆい
□歯ぐきが浮いた感じがして腫れぼったい
□冷たいものがしみる
□歯を磨くと歯ぐきから出血する
□朝起きたとき口の中がネバネバして不快である
□歯ぐきを押すと血やうみが出る
□口臭を指摘された(自分で口臭があると感じる)
□歯ぐきの色が赤黒い、歯ぐきが腫れている
□歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい
□☆歯を押すとぐらぐらする
□☆歯ぐきが下がり、歯が長くなった感じがする
□☆このごろ、歯並びが変わったような気がする
●判定
0-2個 健康
3-4個 歯周病の可能性あり
5個以上 歯周病
選んだ中に☆の三つが該当 重度の歯周病
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