かかずにケア クリームで保湿
部屋の湿度60%程度 風呂のお湯40度以下
冷え込みが厳しくなり、空気が乾燥し、肌の乾燥も気になってきた。特に初期症状として、脚や腕、背中の皮膚がカサカサし、かゆくなる人が多い。そんな症状を和らげるにはどうしたらいいだろう。
横浜市の野村皮膚科医院の野村有子院長は「気温が低くなり、天気のいい日が数日続いた11月半ばから、急に患者が増えた」と話す。冬場の乾燥は皮膚を敏感にさせ、若者から高齢者まで多くの年齢層で肌のトラブルを訴える人が増えるという。
乾燥肌とは皮膚に潤いを与える水分や油分が少なくなり、表面がカサカサしたり、ひび割れができたりする状態。通常、皮膚の角質細胞の中には一定の水分があり、皮脂によって水分が保たれている。水分や皮脂は肌を守る役割をするが、湿度が低下して汗をかきにくくなる冬は、そのバリアー機能が低下して外部の刺激に敏感になる。
「夜布団に入って体が温まると、背中がかゆくなる」と話すのは、静岡県に住む長山ひかるさん(27)。11月後半から、夜、かゆみで時々目が覚めてしまう。保湿クリームを塗って布団に入るようにしているという。
乾燥によって敏感になった肌の初期症状として見られるのがかゆみ。特にお風呂や布団に入った時など、体が温まるとかゆくなり夜眠れなくなることもある。「皮脂を分泌する肌の皮脂腺が、他の部分に比べて少ない、スネや腕、背中などからかゆくなる人が多い」(野村院長)という。
かゆみとは、皮膚感覚の1つ。かゆみがあると意識して皮膚をかくこともあるが、無意識にかいてしまうことも多い。放っておくと気が付かないうちに皮膚が傷ついてしまう。マノメディカルクリニック(東京・渋谷)のまのえいこ院長は「皮膚をかき続けると湿疹(しっしん)状態が進み、皮膚が赤茶色くガサガサの慢性湿疹になることがある」と注意する。
乾燥が気になり始めたら、まずクリームなどで保湿をし、肌のバリアー機能を高めることが必要だ。「夜の入浴後と朝に1日2回、保湿効果のあるクリームを薄く塗るといい」(まの院長)。入浴後、肌が水分で潤っているときにケアすれば、水分が保たれやすくなる。
保湿用のクリームといっても種類が多い。クリームを薬局などで選ぶ場合は、成分や効能を確かめて選ぼう。ユースキン製薬(川崎市)によると、「血行促進効果があるビタミンEが入ったものや、乾燥などが原因でおこるかゆみ止め効果があるもの、角質化した部分に効果がある尿素入りのものなどがあり、症状に応じて使ったほうがいい」という。例えば、尿素が20%以上入ったものは「固くなった角質を溶かす効果があるので、皮膚が薄いところは絶対避ける」(ユースキン製薬)。
生活環境を見直すことも症状改善につながる。寝るときの部屋や、長い時間を過ごす職場などが乾燥していないかチェックしよう。部屋の湿度は60%程度が理想。湿度計がなければ「家では寝る前にぬれたタオルを干しておいて、朝、カラカラに乾いていたら乾燥警報。職場では、頻繁にのどが渇いたら、肌も乾いていると考えて」(野村院長)。できれば加湿器を使うなどの工夫が必要だ。
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