毎日痛む「緊張型」 日ごろから姿勢正しく
休日にひどい片頭痛 ストレスをためない
日本人の約4割が頭痛持ちといわれており、日常的に激しい痛みに襲われる人も多い。ストレスや生活習慣、体質など原因は様々だが、鎮痛剤頼みでなく、頭痛のタイプをきちんと見つけて対処する。ちょっとした空き時間に軽く体を動かすだけでも症状の改善や予防につながると専門家はアドバイスする。
慢性頭痛には症状ごとにいくつかのタイプがある。毎日のように頭が締め付けられるように痛む「緊張型頭痛」と、週末になると起き上がることができないほどのひどい痛みに見舞われる「片頭痛」に悩む人が多い。
日記でタイプ判別
緊張型頭痛か片頭痛かで対処が違う。まずタイプを見極める。慶応大学病院で頭痛専門外来を担当する鈴木則宏教授が勧めるのが「頭痛日記」。縦軸に痛みの程度、横軸に時間をとったグラフを毎日つけると、症状の出る傾向からタイプがわかるという。
ほぼ毎日頭が痛くなる緊張型頭痛は、ストレスや姿勢の悪さが原因。首、肩、背中にわたって頭を支えている筋肉が緊張し、首筋がこったような状態になり、後頭部の筋肉や神経に影響を与えて痛みが起こる。パソコンに向かう時間が長かったり運動不足だったりと体に負担がかかるだけでなく、仕事や人間関係を巡る精神的なストレスも原因になり、老若男女問わず誰にでも起こる。
ただ、痛みは寝込むほどではない。頭痛を抱えたまま仕事や家事をこなすことも可能。市販の鎮痛剤は対症療法にすぎず、日ごろから運動や姿勢の改善を心がけることが重要だ。
一方の片頭痛は20代、30代の女性に多く週末などストレスから解放された時や月経前後に起こりやすい。一度発作が始まると、数時間から3日程度、脈拍に合わせてズキンズキンという頭痛が続く。起きていられないほどの痛みで、嘔吐(おうと)することもある。「トリプタン」という片頭痛専用の治療薬があるが、少しの痛みで服用するなど頼り過ぎるとかえって悪化するケースもある。ストレスをためない工夫がいる。
どちらのタイプにも効果的なのが、職場や自宅で簡単にできる、首回りの筋肉をほぐす体操。緊張型頭痛の人は「頭痛の最中でも体を動かすと、多くがその場で調子がよくなる」(鈴木教授)。
片頭痛の人は頭痛のない普段からこの体操をしていると、痛みが出たときの症状が軽減するという。北里大学医学部の坂井文彦教授も「片頭痛の発作を予防する効果もある」と説明する。
頭の中の血管に炎症が起きると神経に影響して痛みを引き起こす。頭と首の神経はつながっており、首回りの筋肉が緊張してひどいこりが続くと頭痛が発生しやすくなる。普段から首回りの筋肉をよくほぐしておけば片頭痛を防ぐことにもなるというわけだ。ただ、痛みのある時に動かすと余計ひどくなるので覚えておこう。
首は動かさずに
体操効果を引き出すコツは、首や肩の筋肉を軽くほぐすつもりで、ゆっくりと肩を回し首筋も伸ばす。1日2−3回程度、数分間でも毎日続けると効果が期待できる。
気をつけたい点が「体操中は首を動かさない」(坂井教授)。筋肉をほぐすつもりで首を振ったり回したりすると、頭痛を引き起こす筋肉により負担がかかり、痛みが増す。
単なる頭痛だと思っていたら、脳腫瘍(しゅよう)やけがの後遺症といった深刻な病気が隠れていることもある。磁気共鳴画像装置(MRI)などの検査で判別がつく。痛みがあまりにひどい時は、病院へ行って一度精密検査を受けておけば安心だ。
(長倉克枝)
緊張型頭痛と片頭痛の違い
緊張型頭痛 片頭痛
なりやすい人 誰にでも起こる 若い女性に多い
痛みの原因 心身のストレス ホルモンやストレスが関係するとの見方も
頻度 時々〜毎日 時々(週末などストレスから解放されたときに起こりやすい)
部位 頭の両側や後頭部 主に頭の片側
痛み方 締め付けられるような圧迫感 脈拍に合わせてズキンズキンと痛む
痛みの程度 家事や仕事はできるが集中できない 痛みで起きていられない
体を動かすと ひどくならない、痛みが和らぐ 痛みがひどくなる
嘔吐(おうと) なし あり
頭痛に効果のある体操の一例
@背骨、首、頭が一直線になる姿勢で、図のように腰と肩をひねり腕を大きく振る。その時、首は動かさない
A肩を回す。両腕を同時に、服を脱ぐように後ろへ回し、リュックサックを背負うように前へ回す
注意する点
・緊張型頭痛の人は、痛みがある時に、片頭痛の人は痛みがない時にするとよい
・立った状態でも座った状態でも構わない
・1日2、3回、@とAを各2分間ずつする
(坂井教授の話をもとに作成)
ひとくちガイド
《本》
◆頭痛の基本的な知識から治療の最新情報までをわかりやすく解説
「これで治す最先端の頭痛治療」(日本頭痛学会編、保健同人社)
《ホームページ》
頭痛の原因、症状、治療のほか、頭痛にまつわる逸話などの雑学情報も
頭痛大学(http://homepage2.nifty.com/uoh/index.html)
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