万能細胞分化で体内時計
阪大、再生医療に活用も
体のリズムを約24時間周期で刻む体内時計が、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や新型万能細胞(iPS細胞)からさまざまな組織に分化する過程で形成されることを、大阪大の八木田和弘(やぎた・かずひろ)准教授らがマウス実験で突き止め、米科学アカデミー紀要電子版に25日発表した。
ES、iPS細胞では体内時計は発生していなかった。八木田准教授は「未分化のがん細胞は体内時計に異常があることが多い。今回の研究成果は再生医療の際、危険のある細胞を見分ける基準になる可能性がある」と話している。
また、体内時計が完成していない胎児期に、母体にストレスや生活リズムの乱れがあると、子どもの体内時計にどう影響するのかの解析にも役立ちそうだという。
実験では、細胞の体内時計が振動すると反応して光る遺伝子を指標に、体内時計を観察できるES細胞を作製。ES細胞では振動がなかったが、培養して分化させると約2週間で約24時間周期の振動が現れた。体内時計ができた細胞からiPS細胞をつくると再び振動が消え、そこから分化させた細胞ではまた周期的な振動が始まった。
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