30−60代の男性は約3割が肥満なのに対し、30代以下の若い女性にやせ形が増えていることが8日、厚生労働省の2000年国民栄養調査で分かった。女性と比べ、栄養や食事について関心の低いことが、男性の肥満増加傾向の一因とみられる。
全国から無作為に抽出した1万2千人余を対象にした昨年11月の調査によると、男性の肥満の割合はいずれの年代でも10年前と比べて増加。60代の30.7%をトップに、30−50代も3割近くを占めた。女性の場合、10年前より肥満の割合が増えたのは70代だけ。60代が30.1%と最も高かったものの、0.9ポイントダウンした。
一方、若い女性にやせ形が増えている。20代では4人に1人(24.2%)、30代でも6人に1人(17.5%)の割合で、いずれも20年前の倍近くとなった。肥満と対照的に、やせ形の男性はすべての年代で10年前、20年前より減っており、40代は2.7%にすぎない。
体型を巡る男女の二極化傾向は、食生活に対する関心度の格差が反映しているようだ。栄養や食事について、20代の男性の約5割が「全く考えない」「あまり考えない」と回答。30代でも約3割に上ったのに対し、20代以上の女性では「よく考える」「時々考える」の回答が7−9割を占めた。
同省は健全な食生活の目安として「1日1食以上、きちんとした食事を2人以上で楽しく、30分以上かける食事」を掲げている。
女性の場合、30−60代で7割以上が実践している半面、20−40代の男性はいずれも5割前後にとどまった。
調査では、BMIと呼ばれる国際的な指標を採用して肥満度を判定した。体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割った数値で、25以上が「肥満」、18.5未満が「やせ」、その間が「標準」となる。
エネルギー摂取量に占める脂肪エネルギーの比率は、男女ともに20−25%が適正とされる。しかし、今回の調査によると、男性の20−40代の総平均値はいずれも上限の25%を超えており、「取りすぎ」の状態だった。
前回の調査(1999年)では、取りすぎの自覚の有無などを聞いているが、「自覚している」と答えた男性は2割にすぎない。肥満や高血圧と並び、生活習慣病に直結する高脂血症と高血糖を「問題あり」と考えている男性は、いずれも3割前後にとどまった。
一方、BMIが「標準」であっても、体脂肪率が男性で25%以上、女性で30%以上であれば、内臓周辺に脂肪がつく「かくれ肥満」の可能性があり、油断は禁物。厚生労働省は2010年までに成人男性の肥満の割合を15%以下に抑える目標を掲げている。達成のためには、健康問題に対する個々の“意識改革”が必要なようだ。
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