血管が硬くなり心筋梗塞(こうそく)などの原因となる「石灰化」と、骨粗しょう症の二つの老化現象は同じタンパク質が引き金になることを大阪大と東京大のチームが解明し、米心臓病学会の専門誌電子版に2日発表した。
これらの現象は高齢女性に起きる比率が高い。女性ホルモンのエストロゲンがこのタンパク質の働きを抑えているとみられ、チームの中神啓徳(なかがみ・ひろのり)大阪大教授(老年病学)は「エストロゲンは更年期に急に減少するため、閉経後の女性に骨粗しょう症や血管の石灰化が増える理由を説明できる。骨粗しょう症の薬が石灰化の治療にも使えるかもしれない」としている。
骨粗しょう症は、RANKLというタンパク質が骨を壊す細胞を活発化して悪化する。
チームは、ヒトの血管でもRANKLが作られているのを発見。血管の細胞にRANKLを加えて培養すると、BMP2というタンパク質が増え、血管の一部が硬くなった。エストロゲンは骨を壊す細胞の活発化やBMP2の増加も抑えるとみられる。
雌マウスの卵巣を摘出しエストロゲンをできなくすると、骨粗しょう症と血管の石灰化を発症。摘出しても、エストロゲンを投与した場合は発症しなかった。男性はエストロゲンの量が少なく、女性ほど加齢による影響が目立たないという。