日本人は1日に摂取する食塩の半分以上を和風の高塩分加工食品としょうゆにより摂取しており、和食を好む人は洋食を好む人より食塩摂取量が多い傾向があることが明らかになった。
10月15日から福岡市で開催された第33回日本高血圧学会で、公益財団法人結核予防会第一健康相談所生活習慣病予防・研究センター副センター長の奥田奈賀子氏が発表した。
日本人の食塩摂取量は欧米諸国と比較すると依然として高く、さらなる減塩の必要性が指摘されている。奥田氏は、血圧と食事因子に関する国際共同疫学研究INTERMAPのデータを用いて、日本人の食塩摂取に関連する食品摂取や食事のパターンを検討した。
国際共同疫学研究INTERMAPは、1996〜99年に、米国8カ所、イギリス2カ所、日本4カ所、中国3カ所の計17カ所で行われた血圧と食事に因子に関する国際共同疫学研究。4回の24時間思い出し法による栄養調査と2回の24時間蓄尿により栄養・食品摂取のデータを集めた。今回の検討には、INTERMAP研究における日本人集団(一般集団より募集した40〜59歳の男性574人、女性571人の計1145人)のデータを用いた。
食塩摂取の特徴を解析するために、栄養調査で聞き取られた食品を食材、加工状態、調理法に応じて75群に再分類し、対象者ごとに食品群別摂取量および食塩摂取量を計算した。対象者が1日の食塩をどのような食品群から摂取していたか調べるために、1日の食塩摂取量に対する食品群ごとの食塩摂取量の寄与割合を計算した。
その結果、食塩摂取量への寄与割合が大きい食品は、しょうゆ17.2%、塩8.6%などの調味料、漬物10.9%、塩干魚8.1%、みそ汁・スープ7.1%などの高塩分加工食品、高塩分調味料だった。
次に、体重1kg当たり24時間尿中Na排泄量(nmol/24hr/kg)により対象者を4分位に分類し、食品摂取量および食塩摂取割合との関連を検討すると、高塩分摂取者では日本食の高塩分加工食品の摂取が多いとともに、米飯の摂取量や野菜を煮物やおひたしで食べる量が多く、和食パターンの食事傾向にあった。一方、低塩分摂取者では、パン、乳・乳製品など洋風の食材の摂取が多かった。
これらの結果から奥田氏は、「高塩分の加工食品の摂取を控えるよう勧めるとともに、ご飯に合う洋風のおかずを勧めるのも、減塩指導として受け入れられやすく有効なのではないか」との考えを述べた。