あくびしながらうんと腕を伸ばした時の気持ちよさは、だれもが感じたことがあるだろう。これが無意識のうちに実践しているストレッチ。ストレッチには疲労回復や老化防止などの効果が期待できる。今の季節なら、冷房が原因となっている冷えや腰痛の緩和にも役立つという。 |
「血行が良くなったためか、今は長い間歩けるようになって本当にうれしい」新宿区に住む主婦、宇賀神京子さん(55)は30分も歩くと足がしびれて動けなくなっていた。
だが1年半前に整形外科の医師の薦めでストレッチ講座に通い始めたところ、半年ほどで症状は目に見えて軽減。今は山登りを目指して週に1度、1時間半の運動に励んでいる。
ストレッチ(steretch)とは筋肉や腱(けん)を引き伸ばすという意味。筋肉を伸ばすと関節の動く範囲が広がり、体が柔らかくなる。一般的には運動選手が競技中のけがを防ぐための準備運動として知られている。
腕や脚などの筋肉を伸ばすと、静脈に圧力がかかって血液やリンパ液の循環が促される。それで疲労回復や老化の防止、うっ血による肩こりの緩和などにつながるというわけだ。
仕事や家庭の問題などで精神的に強いストレスを受けていると、筋肉が過度に緊張し、肩こりや腰痛が起きやすい。ストレッチはこの緊張を手軽にほぐすのに最適だ。
中央社会保険健康センター「ペアーレ新宿」(東京・新宿)の伊沢昭子講師は、ストレッチでゆっくりと息を吐きながら筋肉を緩めると「筋肉だけでなく精神的な緊張もほぐされる」という。
ストレッチは一見簡単そうな運動。だが瞬間的に力を入れて筋肉を伸ばすなど、やり方を誤っている人も多い。注意点と正しいやり方を把握しよう。
まずは軽くジョギングなどで体を温めてから始める。筋肉は温めた方が伸びやすい。ふろ上がりに始めるのも効果的だ。
例えば太ももの後ろの筋肉を伸ばすなら、まず床に座って足を伸ばす。ゆっくりと状態を前に倒していき、心地よい、というところで20−30秒間ほど静止する。
1.体を温めてから始める。
あまり寒いところではしない
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2.伸ばしている筋肉の部位を意識する
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3.筋肉を伸ばすときに息は静かに吐く
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4.動作の時には勢いや反動をつけない
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5.気持よいところで動作を止め、
20-30秒は静止する
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6.ウオーキングなどと組合せる方が
効果は大きい
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7.毎日続ける
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体が柔らかい人は足先に指をかけて上体を引き寄せるとふくらはぎの後ろも伸ばせる。体の硬い人は足の裏にタオルを引っ掛けたり、だれかに背中を押してもらったりしてもいいが、無理はしないこと。
痛みに顔をしかめながら胸を脚に付けようと頑張る人がいるが、筋肉を傷めるだけ。絶対やめよう。
反動をつけて瞬間的に伸ばすのも筋肉を傷めやすい。京都大学体育指導センターの井街(いまち)悠助教授は「筋肉が切られまいと反射的に縮むため、ストレッチ効果も十分得られなくなる」と指摘する。「柔軟さを競うのではなく、静かにゆっくりと自分のペースでやることが重要だ。
腕を動かしてみると分かるが、腕や脚の筋肉は前と後ろで対をなしていて、一方が活動して縮むと他方が伸びるようになっている。この仕組みを意識して交互に筋肉を伸ばすのが効果を上げるコツ。
体が硬ければ、静止時間は最初は5秒間程度から始め、少しずつ長くしてみよう。7、8つの動作をそれぞれ数回ずつ繰り返す。これを毎日続ける。
パソコンに向かって座りっぱなしになったりして長時間同じ姿勢でいると、うっ血しやすい。室温が低ければなおさら。オフィスでも足をあげたり、立ち上がって伸びをしてみたりするとよい。少し歩くと血液の循環はさらによくなる。普段でもウォーキングなどと組み合わせると、健康増進の効果はより高まるという。
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