ピロリ菌にぜんそく予防効果=幼少期の投与で
筑波大
ピロリ菌が作り出すコレステロールを幼少期に投与すれば、気管支ぜんそくの予防に効果があることを、筑波大の島村道夫研究員らのグループがマウスの実験で発見した。花粉症やアトピー性皮膚炎など、発症メカニズムが同じアレルギー性疾患全般に効果が期待できるという。
米医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション電子版に14日掲載された。
研究グループは、幼少期に感染症の原因となる細菌やウイルスにさらされる機会が少ないと、成長後にアレルギー性疾患にかかりやすいという「衛生仮説」に着目。
実験では、新生マウスにピロリ菌が作るコレステロール「コレステリルアシルグルコシド(ChAcG)」を投与。成長後、ぜんそくを起こす物質に触れさせ、気道の炎症をみたところ、ChAcGを投与しなかったマウスだけが重症化した。投与したマウスは、炎症の原因となる白血球の値が、投与しなかったマウスの約4分の1だった。
島村研究員によると、ChAcGの投与で免疫細胞「NKT細胞」が活性化。幼少期にウイルスや菌に触れることで免疫細胞が正常に発達し、成長後アレルギーになりにくい免疫系が形成されると考えられるという。
島村研究員は「大人になると免疫系が固まって改善が見込まれないが、幼少期での投与は効果的。近い将来、実用的な予防薬を作ることが可能だ」としている。