笑いヨガ 心身元気に
簡単な動作で「アハハハ」
脳が活性、リラックス

 声を出して笑いながら体を動かす「ラフターヨガ」(笑いヨガ)が注目されている。ヨガといっても難しいポーズはなく、子どもから高齢者まで参加しやすいのが特徴だ。約5年前に日本に紹介され、既に全国に約120のクラブがあり、笑顔の輪が広がっている。【下桐実雅子】

 東京都武蔵野市で毎週水曜日に開かれる「吉祥寺ラフタークラブ」には、毎回15人前後が参加する。日本に初めてラフターヨガを紹介した田所メアリーさん(56)と夫の孝さん(60)が講師。メアリーさんが「息が切れたら座ってもいいですから、自分のペースを守って。笑うときに、目と目を合わせるコミュニケーションを大事にしてください」と声をかけた。

 この日は軽いストレッチの後▽インドのあいさつをイメージして両手を胸の前で合わせる▽ミルクセーキを作って飲むまねをする--など8種類の動作をしながら、参加者は「アハハハハハ」と声を上げて笑った。最後はみんなで車座になり、ひたすら笑う。記者もつられて笑ってしまった。

 約1年半クラブに通っている神奈川県大和市の男性(60)は「リストラで職を失い不安な日々を過ごしていたが、ここに来て少しずつ前向きになった。笑っていると幸福感に包まれる」。現在は整体師を目指して勉強中という。

 「日常生活でも以前より笑うことが多くなった」と話すのは50代の女性。夫を病気で亡くし食事もとれなかったが、ラフターヨガと出合い元気を取り戻したという女性もいた。メアリーさんは「笑いには脳の活性化などの効果がある。作った笑いでも、自然に笑うのと同じ効果を期待できる」と語った。

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 ラフターヨガは1995年にインドの医師夫妻が考案した健康法で、笑いを取り入れることで自然に腹式呼吸ができる。世界60カ国以上に広がっており、米国ではがん患者の病棟で取り入れている例もあるという。

 大阪府立健康科学センターでは数年前から、「健康教室」に笑いヨガを取り入れている。担当している大平哲也・大阪大准教授(公衆衛生学)によると、実施後では唾液中のストレス関連ホルモンの値が低下する傾向があるという。「運動効果に加え、心理的ストレスを減らすリラックス効果が得られるのではないか」と大平准教授は話す。

 笑いのためのエクササイズは「あいさつ」「ライオン」「言い争い」などたくさんの種類があるが、どれも簡単で慣れれば自宅でもできる。高齢の愛好者も多く、仙台市の「りらくらぶラフターヨガ教室」のリーダー、佐藤四郎さん(63)は「地域の公民館などに出張実演すると、1人暮らしのお年寄りから『こんなに笑ったのは何カ月ぶりかしら』と言われる」と話す。

 人気の背景について、普及に取り組む「ラフターヨガ・ネット」(東京都中野区)の杉浦彰・代表理事は「経済状況が厳しく、ストレスの多い現代社会で、心身をリフレッシュできる笑いが見直されている。笑いも運動。誰でもできる手軽さがいいのではないか」と話した。

 ◇全国に約120のクラブ

 全国のクラブは「ラフターヨガ・ジャパン」のウェブサイト(http://laughteryoga.jp/)から検索できる。「日本笑いヨガ協会」のサイト(http://waraiyoga.org/)でも、体験会の情報が掲載されている。「ラフターヨガ・ネット」のサイト(http://laughteryoganet.jp/)も参考になる。

 参加費はクラブによってまちまちだが、1時間〜1時間半で500〜1000円程度が一般的。「吉祥寺ラフタークラブ」のように寄付制のところもある。高血圧や心臓病、腰痛などの持病がある人は、医師と相談の上で始めるのが望ましい。

2011.02.15 記事提供:毎日新聞社