「炎症性疼痛(とうつう)」と呼ばれる関節リウマチなどの慢性的な痛みは、脊髄内にある「カテプシンB」と呼ばれる酵素によって誘発されるとみられることを、九州大歯学研究院の中西博教授(薬理学)らの研究チームが15日発表した。治療薬の開発につながる可能性もあり、研究成果は同日付の米科学誌「ザ・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」電子版に掲載された。
炎症性疼痛は、脊髄内で生成された、インターロイキン1β、同18と呼ばれるたんぱく質が、炎症を起こした膝や手首から伝わる痛みのシグナルを強めることで引き起こされることはわかっていたが、これらのたんぱく質の生成過程は不明だった。
研究チームは炎症性疼痛が起きた際、脊髄内の「ミクログリア」と呼ばれる細胞内で酵素のカテプシンBが通常の4-5倍に増える点に注目。遺伝子操作によってカテプシンBを持たないマウスで調べたところ炎症が起きてもインターロイキン1βや同18が生成されないことが判明したという。