抗酸化物質は慢性膵炎の疼痛と酸化ストレスを軽減する
抗酸化物質の補充が慢性膵炎患者の疼痛解消と酸化ストレス軽減に有効であることが、ランダム化比較対照試験で示された
Laurie Barclay
【1月8日】慢性膵炎(CP)患者の疼痛と酸化ストレスが、抗酸化物質の補充で効果的に解消できるというプラセボ対照二重盲検試験の結果が、『Gastroenterology』1月号に発表された。
「酸化ストレスは、CPの病態生理に関係している」と、全インド医科大学(ニューデリー)のPayal Bhardwajらが記している。「我々は、抗酸化物質の補充がCP患者の疼痛解消、酸化ストレス、抗酸化能に及ぼす影響を調べた。」
CPの連続患者群をランダム化して、プラセボまたは抗酸化物質サプリメントを6カ月間投与した。主要エンドポイントは疼痛の解消である。二次エンドポイントは、鎮痛薬と入院の必要数である。酸化ストレスのマーカーは、チオバルビツール酸反応性物質と抗酸化能(血漿の鉄還元能)で測定した。
患者の平均年齢は30.5 ± 10.5歳であり、男性が86例、アルコール性CP患者が35例、特発性CP患者が92例であった。ランダム化対象の患者127例のうち、プラセボ群に56例が、抗酸化物質群に71例が割り付けられた。疼痛のあった月間日数の6カ月後での減少幅は、抗酸化物質群のほうがプラセボ群よりも有意に大きかった(それぞれ7.4 ± 6.8日と3.2 ± 4日、P < 0.001、95%信頼区間[CI]は2.07 - 6.23)。
抗酸化物質群は、使用した鎮痛薬錠剤の月間数も大きく減少した(それぞれ10.5 ± 11.8個と4.4 ± 5.8個、P < 0.001、95%CIは2.65 - 9.65)。疼痛が無くなった患者の割合は、抗酸化物質群が32%で、プラセボ群が13%であった(P = 0.009)。
抗酸化物質群はプラセボ群に比べて、チオバルビツール酸反応性物質量が減少し、血漿鉄還元能が増加した(チオバルビツール酸反応性物質はプラセボ群が1.2 ± 2.7 nmol/mLに対して抗酸化物質群が3.5 ± 3.4 nmol/mL、P = 0.001、95%CIは0.96 - 3.55、血漿鉄還元能はプラセボ群が-5.6 ± 154.9μMFe+2に対して抗酸化物質群は97.8 ± 134.9μMFe+2に自由化(イオン化)された。P = 0.001、95%CIは44.98 - 161.7)。
「抗酸化物質の補充は、CP患者の疼痛解消と酸化ストレス軽減に有効であった」と著者らは記している。「疼痛の軽減によって、失われる人日数も少なくなるので、患者にとっては労働報酬が損なわれないことにつながる。抗酸化物質の疼痛解消への有益な作用は、3カ月後という早い時期から現われた。」
この試験の限界としては、疼痛の評価にバイアスがあること、プラセボ群も疼痛が軽減していること、その後の追跡がされていないこと、抗酸化物質の効果がどのくらい長く続き、抗酸化物質補充をどのくらい長く続けなければならないかに関するデータがないことが挙げられる。
「この試験では、抗酸化物質による顕著な有害薬物反応はまったく見られなかった」と著者らは結論で述べている。「これは、患者は抗酸化物質が欠乏しているためだと考えられる。適切な条件のCPには抗酸化物質療法の処方が可能だと我々は確信している。」
この試験は、インド医学研究評議会の支援を受けている。試験薬とプラセボはOsper Pharmanautics社が無償で提供した。
Gastroenterology. 2009;136:149-159.
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