胃がん予防に野菜と減塩

胃がんの予防のためとして、たばこをやめる、なるべく新鮮な野菜や果物を十分にとる、食塩の多い食品を控えるなどがあげられる。食事に関係する2点について、厚生労働省がん研究助成金による「多目的コホート研究」を紹介しよう。

40−59歳の男女約4万人を対象にした10年間の追跡調査(2002年発表)では、野菜や果物をほとんど食べない人を基準にすると、週1回からほとんど毎日食べている人は、胃がん発生率が3割前後低かった。

予防する成分としては、カロテノイド、ビタミンC、葉酸、フラボノイド、植物性エストロゲン、イソチオシアネート、食物繊維などの働きが考えられている。

これらの結果から、なるべく新鮮な野菜や果物を毎日食べることはがん予防につながりそうだ。その量は、野菜350グラム(うち緑黄色野菜120グラム)、果物200グラムぐらいが目安だと思う。

一方、食塩はとりすぎると胃の粘膜の層が破壊され粘膜細胞が傷ついて胃がんが発生しやすくなる。

同じ研究班の04年発表の調査では、塩蔵魚卵(たらこ、いくらなど)や、塩辛、練りウニをほとんど毎日食べる人は、ほとんど食べない人に比べて、胃がんリスクが2−3倍増加したという。

日本人には胃がんが多い。白米を主食とする伝統食をおいしく食べるのには、塩辛いものがよく合う。これが胃がん発生に関与していると考えられる。

みそ汁や漬物、塩蔵魚(めざし、塩ザケなど)についても、塩分を取りすぎないよう心がけたい。
(新宿医院院長  新居 裕久)

 

 

2008.4.12記事提供:日経新聞