枝豆で疲労回復

ビールのおつまみには枝豆が定番。緑色のつやつやした豆をみると清涼感を感じるので、これはまさに夏の風物詩である。枝豆は、大豆の未成熟な種実を利用するので、豆類というよりも野菜類に入る。

さて枝豆の栄養価だが、大豆と同様の栄養素が含まれている。「畑の肉」と呼ばれる大豆並みの栄養価が期待できる。たんぱく質、炭水化物、脂質、カリウム、カルシウム、鉄、ビタミンB1、B2、ビタミンK、ビタミンE、食物繊維などを多く含むが、大豆に比べ未成熟な種実で水分を多く含むため、栄養素のなかにはゆで大豆に比べ、やや少ないものもある。

しかし大豆に含まれていないビタミンCが100グラム中27ミリグラム。大豆に少ないカロテンが260マイグラクロムも含まれている。それと近年注目されている更年期障害や、骨粗しょう症予防の働きを持った大豆イソフラボンも存在するという。

特記すべきことは、枝豆には夏不足しやすいビタミンB1が100グラム中0.31ミリグラムも含まれていることだ。このビタミンは、炭水化物の代謝を促し、エネルギーをつくる重要な働きをする。夏はさっぱりしたものが欲しくなるので、ついそうめんやひやむぎ、清涼飲料などを偏ってたくさん取るので、ビタミンB1不足が起こりやすく、疲労感や食欲不振などが生じやすい。

これを補うのが枝豆である。それに枝豆にはグルタミン酸、アスパラギン酸などのうまみ成分が多いので大変おいしい。その上、枝豆自身だけでもほぼ栄養のバランスが取れるのですばらしい。大いに食べよう。
(新宿医院院長  新居 裕久)

 

2006.7.22記事提供:日経新聞