米国では野菜や果物を1日に5皿以上食べる運動が展開されている。この運動のきっかけとなったのは、心臓病が予防できるということからである。

たとえば最近、米国で医療従事者約2万2千人を対象として、野菜の摂取量別に心臓病になる確率を調べた結果、野菜料理を1日1皿以下しか摂っていなかったグループでの心臓病の発症率を1とすると、2.5皿以上を摂っていたグループでは、0.77と低かったという。

また、米国の国民栄養調査に参加した9,608人を対象にした調査研究によると、野菜と果物を1日3回以上食べているグループの死亡率は、1日1回未満のグループのものを1とすると、脳卒中で0.58、心臓病で0.76という低い結果が出た。

野菜や果物のどのような成分がそうさせたのか、おそらくはこれらの食品に多く含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカル(ポリフェノール・フラボノイド、カロテノイド、硫黄化合物など)によるものと思われる。これらの成分のそれぞれには血中総コレステロール値や血圧の上昇を抑えたり、血液をサラサラにしたりする働きがある。

ここで注意したいのは、野菜や果物だけをたくさんとれということではない。必ず栄養のバランスをとることが大切。たとえば、たんぱく質食品としては積極的に大豆及びその加工品や魚、あぶらとしては植物油、炭水化物としては玄米、五穀米などを組み合わせれば、ともに心臓病を予防するので効果的である。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2005.6.4 日経新聞