4月28日、英国の研究チームは、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸に脳の機能を高める効果はないとの調査結果を発表。写真は19日、台湾で水揚げされたマグロ(2010年 ロイター/Lee Chung Wei)
[ニューヨーク 28日 ロイター] 英国で行われた研究によると、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸は、心臓の健康のためには良いが、脳の機能を高める効果はないという。ロンドン大学の研究者らが専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション」に発表した。
これまで数多くの研究が、魚をよく食べる人は精神機能が良好で、認知症になりにくいとの結果を示してきた。
だが、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院の研究者らは、70歳代の男女748人を対象に2年間かけて行った調査で、エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を摂取したグループとしなかったグループに、認識機能の差は確認できなかったとした。
ただ、より長期間にわたり摂取した場合の効果については、可能性を排除していないとしている。
2010.4.30 記事提供:ロイター
魚を食べるなら、だんぜん”イワシ”がオススメ!
DHA、EPAの健康パワーのヒミツはこれ!
●生活習慣病に効くイワシパワー
がん、心臓病、脳卒中、動脈硬化、高血圧、糖尿病など、いわゆる生活習慣病といわれる病気は、死亡原因の上位を占めており、どの病気も食生活と深い関係があるといわれている。 食事がその病気の原因にもなるが、食事によって病気が治ることもあるといわれているほどだ。
とくに
DHA(ドコサヘキサエン酸)や
EPA(エイコサぺンタエン酸)には、これらの病気を予防・改善するはたらきがあるという。では、具体的にそのはたらきのいくつかを見てみよう。
●血液をサラサラにして血栓予防!
EPAには血液を固まりにくくする作用があるといわれている。
血液が血管で固まったものを血栓というが、この血栓で血管が詰まると血液が流れなくなり、脳に血栓ができれば脳血栓、脳卒中などを起こす可能性がある。 同様に、心臓の筋肉に酸素や栄養を与える動脈の一部が硬化や血栓によって狭くなったりふさがったりすると心筋梗塞を起こしやすくなる。
これらの血栓ができるのを防ぐ効果がEPAにはあるのだ。
●気になるコレステロール値を下げてくれるDHA
コレステロールと聞くと悪いものだと思う人も多いが、必ずしも悪いものとは限らない。コレステロールには善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)と呼ばれるものがあるが、この二つのバランスが崩れ、悪玉コレステロールが増えすぎると血管壁にコレステロールがたまって動脈硬化が進む原因となる。
DHAには、この悪玉コレステロールを減らす作用がある。
また、中年になると気になる
皮下脂肪の主成分である中性脂肪を減らすはたらきもあるのだ。
●DHAで頭がよくなる!
実は、
DHAは脳に大きな影響を与えるといわれている。脳には約140億個の細胞があるといわれているが、この細胞にはニューロンという突起した神経細胞があり、このニューロンから伸びた突起と他の神経細胞が結合している部分をシナプスという。
このシナプスは電話局や放送局のようなはたらきがあり、ここでさまざまな情報の伝達が行われているのだ。DHAはこのシナプスにも入ることができ、このシナプスの情報処理能力の良し悪しに関係しているといわれている。つまり、
DHAが多いほど、シナプス膜を柔らかくすることができ、情報伝達もスムーズに行くと考えられているのだ。
「魚をたくさん食べると頭がよくなる」のはあながちうそではない!
●妊娠中の女性はとくに魚を食べよう
DHAを摂取して頭がよくなるのは、生まれた後のことばかりでなく、
胎児にも大きく影響を与えていることが分かっている。
脳の神経細胞の数は胎児の脳が形成されるときに決定し、生まれた後では神経細胞の数は増えない。当然胎児は母体からDHAを摂取するわけだから、
脳の神経細胞を増やし、十分な発達を促すためには、妊娠中の女性はDHAを多く含んだイワシなどを積極的に食べるべきなのである。
ただし、過剰摂取による副作用についてはまだ解明されていないので、錠剤などをとり過ぎるのは避け、なるべく魚の形で食べるように心がけよう。
●老化やボケも予防できる!
高齢化社会になるにつれてお年寄りが増え、老年期認知症(老人ぼけ)も増えているが、これは脳の血管が詰まり、損傷するために起こるもの。こうした脳細胞の破壊が、記憶する役割のある部分で起こると認知症になってしまうのだ。
脳の神経細胞は生まれてから増えることはなく、年とともに減っていく一方だが、
DHAを十分にとり、絶えず脳に刺激を与えると残った神経細胞を活性化させることができる。脳は刺激を与えて鍛えれば鍛えるだけ向上する性質があり、これは年をとっても変わらないため、ボケの防止にもなるのだ。