微細な緑藻類「クロレラ」の市販粒剤がカネミ油症患者の体内に残るダイオキシン類の排せつに効果があることが、福岡工業大環境科学研究所の長山淳哉(ながやま・じゅんや)客員研究員(環境分子疫学)らの研究で分かった。2日に同研究所の発表会で報告する。
福岡と長崎の油症患者37人を2グループに分け、市販のクロレラ粒剤(0・2グラム)を毎食後10粒ずつ8カ月間飲んでもらった。その結果、血中のダイオキシン類の濃度が1グループで平均約7%、もう一方のグループで平均約20%減少したことが判明。油症の主な症状である全身の倦怠(けんたい)感や手足のしびれなどの自覚症状も改善した。
長山研究員によると、クロレラに多く含まれる葉緑素がダイオキシン類を覆い、腸での吸収を抑制し、そのまま排せつさせるとみられる。
長山研究員は厚生労働省の全国油症治療研究班の一員として油症治療に携わっており「30年以上研究してきたが、今回ほど大幅にダイオキシン類の血中濃度を下げた食品はなかった。治療法として大いに期待できる」と話している。