魚をよく食べていれば、軽症で済むの?
青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)に由来する物質が、インフルエンザ感染で症状が悪化した後の投与でも治療に効果を発揮することを、秋田大大学院の今井由美子(いまい・ゆみこ)教授(ウイルス学)らのチームがマウスの実験で突き止めた。7日付の米科学誌セル電子版に発表した。
タミフルなど従来の抗インフルエンザ薬は、発症後48時間を経過し、重症化した後では効果が薄いとされる。新たな治療法の開発につながる可能性もある。
物質は、DHAが体内で代謝されてできるプロテクチンD1(PD1)。インフルエンザで重症になったマウスに、既に販売されている治療薬「ペラミビル」だけを投与した場合、18日後の生存率は40%未満にとどまったが、この薬とPD1を同時に投与すると、生存率は100%だった。
インフルエンザウイルスは遺伝情報を担うRNA(リボ核酸)が細胞の核に入った後、増殖して核の外、さらに細胞の外へと出る。PD1はRNAが核から出るのを防ぐことが試験管の実験で分かった。ペラミビルは細胞から出るのを防ぐため、増殖を二重に抑える形で、より強力な効果が得られたとみられる。
今井教授は「PD1が治療薬として有効である可能性は高い。人への応用については、副作用も含めて検証していきたい」と話した。