甘いだけじゃない…桃に、高血圧や動脈硬化抑える効果
和歌山県立医科大(和歌山市)や国立和歌山高専(御坊市)などでつくる共同研究グループは29日、桃から抽出したエキスに高血圧や動脈硬化の抑制効果があることを確認したと発表した。
研究者らは「県特産の桃が、心疾患などの予防にも役立つ果実であることを広く知ってほしい」と話している。
県立医科大の宇都宮洋才准教授(細胞生物学)らが5年前から、桃の健康効能について研究を開始した。
ストレスや食生活の乱れで体内に過剰に分泌され、動脈硬化や高血圧の原因となるホルモンの一種「アンジオテンシン2」に着目。培養した動脈細胞にアンジオテンシン2を加え、桃の抽出物を入れた場合と入れなかった場合を比較した。その結果、抽出物が入っている場合、ホルモンの活動が大幅に抑制されたという。
研究グループは今月、イギリスの食品化学専門誌に研究結果をまとめた論文を掲載した。桃に多く含まれているポリフェノールの一種がホルモンの活動に影響を与えたとみており、今後、産地の住民らを対象に、心疾患や生活習慣病の発生率を調べ、食生活との関連性などを探っていく。
生活習慣病予防の指導に取り組む日本食生活指導センター(大阪市)の野々村瑞穂会長は「桃には高血圧の予防効果があるといわれていたが、その理由がはっきりしたと思う。産地のブランド力を生かしながら、健康にも役立つ魅力を広めてほしい」と話していた。