血中濃度の高低で思考や記憶に有意差なし
米国神経学会(AAN)は、ω3脂肪酸の摂取が、思考能力に対して、有益な影響を及ぼさないという、新たな試験の所見を紹介した。9月25日付のNeurologyオンライン版に掲載。
これまで、ω3脂肪酸は、認知機能の低下を予防または抑制する物質として高い関心を集めてきたが、高齢女性を対象とした今回の試験では、そうした効果は認められなかった。しかし、この試験を実施した研究者らは、人々が、今回得られた所見に基づいて食生活を変化させるべきではないと考えている。
この研究者らは、今後も、ω3脂肪酸の摂取と、心臓、血管および脳の健康との関連性について、研究を続けていく意向である。研究者らは、魚やナッツが、赤身肉や全脂タイプの乳製品の代わりに摂取すべき、健康的な食品であることが分かっていると述べている。
今回の試験では、65歳から80歳までの女性2157人が、年1回の思考および記憶能力のテストを、平均6年間にわたって受けた。また、血中のω3脂肪酸の測定も、試験の開始前に行われた。その結果、思考能力の低下速度や、記憶能力について、血中ω3脂肪酸濃度の高い群および低い群間に、有意差は存在していなかった。