老化度を測る指標として近年、血液中のアルブミン値が注目されるようになった。東京都老人総合研究所は、65歳以上の高齢者1500人を対象に調査したところ、血液中のアルブミン値の高い人ほど長生きする傾向のあることが分かった。

アルブミンは、食事から取り入れたたんぱく質を原料として肝臓で合成される。アルブミンはホルモン(副腎皮質ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモン)などを全身に運んだり、細胞が傷ついたときに再生を促す働きなどを担っている。血液中のアルブミンが少ないと老化が早まったり、感染症にかかりやすくなったり、体力、気力が衰えたりなどする。

血液中のアルブミン値は1デシリットル中に3.9グラム以上が目安である。年をとると胃腸や肝臓の働きが衰えてくるので、ただでさえアルブミン値は低下しやすい。そこで、肉や脂肪は体に悪いと思い込んで、あっさりした物ばかりをとっていると血液中のアルブミン値は低下し、低たんぱく状態になって老化を進め、長寿を阻んでしまう。

この対策としては、動物性たんぱく質食品をしっかりとること。具体的に中高年の人は、1日に肉と魚、それぞれ1切れ(各70グラム前後)、卵1個、牛乳カップ1(200cc)ぐらいを満遍なく取ること。そして食事の心がまえとして、栄養のバランスを取ることが必要。

そのために、3食きちんと食べる、食欲のないときには、おかずをしっかり取り、主食を残すようにする。生活習慣病の予防になる野菜を十分に取ることなどが大切である。

(新宿医院院長  新居 裕久)

2005.9.24 日経新聞