オイル 食用 バランスよく摂取する、保存管理に注意
「あぶらっこい」「脂ギッシュ」と、食や美容で嫌われがちな油が見直されている。なぜ今、油なのか。1回目は、1870(明治3)年から続く東京・浅草橋の老舗「金田油店」の青木絵麻店長(40)に食用油について聞いた。
まずは基本から。三大栄養素の一つである脂質には、バターや肉に含まれる「飽和脂肪酸」と植物油や魚に含まれる「不飽和脂肪酸」がある。さらに不飽和脂肪酸は2種類の脂肪酸に分かれる。
「流行に惑わされず、バランスよく摂取することが大切です」という青木さん。脂肪酸の摂取バランスは「3(飽和脂肪酸)対3(必須脂肪酸)対4(一価不飽和脂肪酸)」が理想だ。
生活の中で意識して取りたいのは必須脂肪酸の「オメガ3」。体内で合成できないため、食品から補うしかないうえ、青魚や一部の植物油にしか含まれない。脂肪を燃やしたり悪玉コレステロールを減らしたりする効果もあるので、サプリメント感覚で毎日小さじ1杯は取りたい。
オメガ3が豊富に含まれるのはエゴマ油やインカインチ。酸化しやすく熱に弱いため炒め物などではなく生食用で使う。開栓後は冷蔵庫で保管し、1〜2カ月で使い切る。
同じ原料の油でも搾り方で味わいは変わってくる。同店では3種類のエゴマ油を扱うが、クセや香ばしさはそれぞれ。青木さんは「香ばしいタイプはドレッシングに使ったり、納豆やみそ汁に入れたりすればコクが出ていいうまみになる。クセがなければヨーグルトやジュースに入れてもおいしい」と勧める。
逆に熱に強いのはオリーブ油などに含まれる「オメガ9」。揚げ物に使えば、油ぎれもよくコシが出る。アルガン油など、砂漠の植物の種を搾ったものも熱に強い。
一口に植物油といっても、種類や成分はさまざま。青木さんは「試飲できる店があれば好みの味や香りを探してみて。普段と違う油や使い方も試しては」と話す。
例えば、ゴマ油をピーナツ油やクルミ油に替えても違った香ばしさが楽しめる。黒蜜のような色と香りのパンプキンシード油はアイスクリームやフルーツにかけてもいい。ニンジンの5倍のカロテンを含むレッドパーム油はビタミンEも豊富。料理にオレンジ色が付くので、カレーや炊飯時に混ぜるのもお勧めだ。【中村かさね】