時差ボケ、胃もたれ回復へ

大型連休が終盤にかかり、遊び疲れの人も増えてくる。疲れを残したままでは、ただでさえ腰が重くなる連休明けの仕事や生活に差し障る。そんなときに効く“疲労回復ご飯”を調べてみた。

連休中の活動で、どんな不調をきたすのか。3つの典型的な例を考えてみた。1つ目は全身の疲労感。「やっぱりうちが一番ね」。旅行から帰ると思わず出るこのせりふ。旅行中は楽しくても、自宅にいるのとは違う精神的・肉体的な疲れがたまるものだ。

2つ目は時差ボケに伴う不眠。海外から帰国して、夜なのに体内時計は昼のままで眠れないというのは悩みの種。最後は胃腸の不調。休日の解放感にひたってついつい飲み過ぎ、食べすぎ、という経験は誰にでもあるだろう。

これらに効く料理を専門家に聞いてみた。栄養士で、症状別に効く料理の著作が多い料理研究家の上村泰子さんが、栄養学の観点から考えてくれたレシピが図の3つ。

疲労感は乳酸が体にたまることが原因。乳酸解消に効果があるのはビタミンB1で、多く含むのが豚肉やウナギだ。硫酸アリルを含んだしょうがやネギ、ニンニクと組み合わせると「B1の効果が持続していい」(上村さん)という。

時差ボケ解消には、メラトニンというホルモンが睡眠を促すことが知られているので、メラトニンを作るトリプトファンというアミノ酸の多い食材が有効。最近手に入れやすくなったラム肉がその代表核だ。牛乳もトリプトファンが多く、かつカルシウムが神経の興奮を抑えるので安眠効果があるという。

胃腸が弱ったときに向くのは豆腐のように消化のよい食べ物。空豆などでんぷん質の多い食材も消化されやすい。さらに、胃の消化酵素は温かい方が働きが活発なので、冷たいものは避け豆腐も常温で。上村さんは「食欲がわかないときはあんかけにして食べやすく工夫を」と話す。

一方、中国医学の考え方を基礎にした薬膳に詳しい栄養士の植山美保さんにも聞いた。疲労回復には長いもや鶏肉。「この食材はパワーやエネルギーである“気”を補う。ニラも気や血の流れをよくするのでいい」と植山さん。

時差ボケには、気持ちをリラックスさせて鎮静効果があるとされるセロリ。それに血を補う効果があるイカ。「血が不足すると不安感が強くなったり、不眠になったりすることがある」

トマトとアサリは飲み過ぎ、食べ過ぎによいという。トマトは消化を促進し、アサリは弱った肝臓の働きを補う。「さらに緑豆、小豆、麦などがまざった雑穀ごはんにすると、お酒など余分なものを排出する働きが増す」。こうした食材をうまく摂取して、連休明けに備えよう。


2006.5.5 日本経済新聞