歯医者なんて大嫌い、という人は多いはず。
あのウィーン、キーンとうなる音はなんなのか。
あの焼けこげたようなにおいはなんなのか。
怖がらなくてもすむようにその理由を知っておこう。
診察台に横たわって、目を閉じる。そうすると、口を上下左右にひっぱられて、耳元でウィーン、キーン、シュッと高周波のうなり。思わずのけぞってしまう。怖いから見たくもないのだけれど、わからないからよけいに怖いということもあるはず。だったらここで、最初の診察から、応急処置、むし歯の治療、補綴、歯石取りまで、一般 的な診察に使う機械と用具を、ひととおり勉強しておこう。歯科医者さんの世界でも、技術はどんどん進歩しているから、思わぬ 発見がある。治療も意外に簡単に終わったり、やってみれば驚くほどきれいに仕上がったりという具合。気になる衛生面 も、機械自体にクリーニング機能がついたり、用具もたくさん揃えてセット単位 で消毒するのがあたりまえになっているから、そういう点でも安心な時代になったのだ。 |
給水ユニット 「ベースン」と呼ばれるうがい用の給水システム。紙コップは当然ディスポーザブル、水も内臓された除菌フィルター通 したものを使う。 |
エンジン、タービン 上が象牙質や義歯などやわらかいものを削るエンジン(マイクロモーターともいう)。下2本がエナメル質など硬い部分を高速回転で削るタービン。それぞれ、削る深さや大きさに合わせてバーなどをセットする。 |
ポイント、ジスク エンジンの先端にセットするのがこれ。セラミック、金属、レジンなどのプラスチック、削る素材と大きさに合わせて選ぶ。 |
ダイヤモンド・バー タービンの先端にセットされる。硬い部分を削るためにダイヤモンドの粉末がついたものを使うのが普通 。バー・スタンドに刺して保管し、1本使うたびにスタンドごと消毒する。 |
オペレーティング・ライト 治療のときの口元を照らすハロゲンランプ。アームが微妙な動きをするので、患者が起きていても寝ていてもピンポイントで合わせられる。 |
3ウェイ・シリンジ 上が3ウェイ・シリンジ。スイッチの押し方で、水、エア、スプレーを使い分け、治療部分を洗浄し、乾燥させる。下は口の中にたまった水、唾液を吸いとるバキューム用。この2本は診療台の両側につく。
|
フットコントローラー 歯科医は椅子に座って、両手に器具を持って治療するのが普通。治療中、タービンの回転数を切り替えたり、診療台の高さや背もたれの角度を変える場合は、手を離さず、足元の操作で行う。 |
3本組 患者ごとに診察に使う基本用具がこの3本。上からピンセット、ミラー、探針(エキスプローラー)。ピンセットは脱脂綿の出し入れなど、探針は歯の状態を手の感触で調べ、ミラーは歯の裏側を見るほかに口を大きく開かせるのにも使う。使用後はブルーの減菌パックに入れ、減菌消毒器にかける。ブルーの色が変わったら完了。 |
ネオダイン 歯医者さんのにおいの素がこれ。むし歯部分にこの素材を仮詰めし、患部を次回の診療まで封印するためのもの。ふたつの薬剤を混ぜ合わせると白いセメント状になる。鎮静効果 もある。 |
薬品 普段使う薬剤は小さな瓶に入れられて診療台のそばに置かれている。色ごとにだいたい中身が決まっていて、無職の瓶は患部を乾燥させるアルコール、茶色瓶は傷口を消毒、殺菌するヨード、白色瓶はオキシドール、青色瓶は根の治療と消毒に使われるホルマリンか入るのが一般 的。緑色瓶には別の鎮痛剤、消毒剤が入る。 |
レントゲン 歯が痛くて歯科医を訪れると、とりあえず最初にするのがレントゲン撮影。最近の機械は、顎を固定すると左右のアームが前後に移動してパノラマ式のX線写 真が撮れるようになっている。さらにX線写真をパソコンに取り込んで解析するシステムも登場したとか。 |
減菌消毒器 歯科医で使われているすべての器具は減菌消毒されている。ピンセットやミラー、スケーラー、針などは1回使うたびに消毒。エンジンやタービンのハンドピース(持ち手部分)も頻繁に消毒される。これは高圧蒸気減菌器という機械で、どこの医院にも必ずある。 |