White Family dental-site

1994年「マイタウン らぶりぃあさお」掲載記事より。



1994年1月マイタウンらぶりぃあさお掲載
おやつ6
子供にとって1日のカロリーの10〜15%をまかなっているおやつの回数や、量を減らすことは容易ではありません。虫歯を防ぐには、食べ終わったらすぐ磨く習慣を身につけることはとても大事ですが、他に日本トウースフレンドリー協会がお菓子メーカーと協力して、食べても歯の表面の酸性度が、PH5.7以下にならず、歯の表面が溶けないなどのテストに合格した食品に歯が傘をさしたマークをつけるようになります。このような食品を利用するのもいいと思います。この試みは、日本は世界で6番目になるということですが、ヨーロッパでこの運動は大成功をおさめて虫歯が減ってきています。スイスではアメやガムの8割がこのマークがついており、お菓子全体の2割がついているということです。日本でもさらに多くのメーカーがこの運動に協力して虫歯を減らしていくことを期待しています。

1994年2月マイタウンらぶりぃあさお掲載
おやつ7

砂糟と一口にいってもいろいろな種類の砂糖があります。これは主にサトウキビを絞った汁が原料となるわけですが、この原料糖に含まれていたミネラルや蜜が加工されるに切るに従って激減してきます。例えぱ黒砂糖、ざらめ、氷砂糖、三温糖、上白糖の順に加工度が高くなり、栄養分が減ってきます。そして純粋な甘さのショ糖の結晶に近づいていくのです。下記の表からわかる様に加工度の低い黒砂糖の方がかなりのミネラルを含んでいんます。砂糖を使うなら加工度の低いメープルシロツプ、ハチミツ、黒砂糖、洗双糖の方が体に良いといえます。

黒砂糖 カルシウム 240

上白糖 カルシウム   1

黒砂糖   鉄   4.7

上白糖   鉄  0.1

黒砂糖 カリウム  1100

上白糖 カリウム  3  「あぶない食品物語」より(単位J)


1994年3月マイタウンらぶりぃあさお掲載
おやつ8
日本では口の中に20本以上の歯を持つ人の割合は60歳代で34.4%、70歳代で12.8%、80歳で7%のみとなっています。(昭和62年厚生省調べ)残った歯の数と噛む力はおおいに関係があり、噛む力と体の機能も硬いものでも噛める人の方が体重、握力、骨の密度、平衡機能などがより良い状態にあるようです。また痴呆程度も噛む力に関連性があという研究結果がでています。このように虫歯や歯周炎で歯をなくさないで充実した老後をおくるためには、小さい頃からの食生活を大切にてほしいと思うのです。人間は本能的にエネルギーを求めるために砂糖をとってしまいます。去年発表された国民栄養調査によれぱ、砂糖類菓子類の消費量が減少しており、昔のように甘くないお菓子も増えてきています。しかし一方で、飲み物、ヨーグルト等の消費量が増え、これらは多量の砂糖を含んでいるので、全体として砂糖消費量は減ってはいません。 

1994年4月マイタウンらぶりぃあさお掲載
おやつ9
動物の歯は、長年噛む事によってすり減ってきます。しかし消耗した分、歯の内部に向かってエナメル質の下にある象牙質という部分が補填されます。よってふつう食生活には支障をきたさないようになっています。ところが、最近の日本人の歯は子供の時から加工された、やわらかなものぱかり食ぺているので、噛む力も弱く顎が小さく、歯の並びも悪くなり、口の中の清掃状態もよくありません。すると、虫歯にもなりやすく歯槽膿漏にもかかりやすい、したがって歯をなくすことにつながります。年老いても歯を健全な状態で残すには、小さい頃からのパランスのとれた食品をよく噛むことで、強い歯や歯周組熾をつくることが大切です。幼児期のおやつは、後々の生活や永久歯に与える影響は大きいので、おとなは、よく考えて与えてほしいものだと思います。

1994年5月マイタウンらぶりぃあさお掲載
感染するのです
「うちの子は甘い物はほとんど食べないし、食べたらすぐ歯を磨いているのに虫歯になるのはどうしてですか。」逆に「この子は全然歯を磨かないのに虫歯にならないのです。」と、よく聞かれます。二人の子供の口の中を見てみるとよく磨けているし、フラッシングが上手です。でも歯医者さんに来る度に小さな虫歯がみつかります。虫歯になりやすさは、その主な原因菌であるミュータンス歯に感染しているか、乳酸桿菌の数が多いか、唾液の性質(虫歯なりやすい酸性の環境に抵抗する力)唾液の量などによって決まります。ですから口の中の状態を検査によって充分知り、状況に応じた予防処置を受けことが大切です。子供の場合、虫歯菌の感染源が両親であることも多く、親のバイキンが子供に感染して、虫歯や歯槽膿漏になることもあります。おかあさん気をつけて下さい。

1994年6月マイタウンらぶりぃあさお掲載
歯医者とつき合う法
「もっと早く来れば良かった。良く噛めて肩こりもなくなり、食物が美味しいよ」と患者さんに言われると「本当に良かったですね」と歯医者も嬉しくなります。いつもこうなら仕事も楽しいのですが、時には麻酔が効かず痛い思いをさせたり、何回も型どりがうまくいかずイライラすることや、出来あがった冠や入歯の適合が悪く調整に手間どったりして、自信をなくしてやめたくなることもあります。患者さんも「この医者はへたくそだなあ」と思い、黙って他の歯医者へ行ってしまいます。これでは熟練した良い医者が育ちません。私達は一生懸命働いていますが、未熟なところも多々あります。どうぞご叱責ください。それが私違臨床医にとって勉強になります。自分の患者さんの最後に喜ぷ顔が見たいのです。どうぞ、もっと担当医とお話しましよう。

1994年7月マイタウンらぶりぃあさお掲載
歯の治療法
治療には、原因を取り除き、根本から治そうとする原因療法と、痛みや熱・腫れなどの症状を抑える対症療法があり、症状に応じて按分を計ります。原因を取り除かずに症状だけ抑えても、ことは複雑になり病気は慢性化してきます。歯槽膿漏も虫歯も、原因はバイ菌の量です。バイ菌のだす外毒素や内毒素の量が体の代謝力をこえた時、症状がでてきます。免疫防御反応として必要だから、腫れや熱が出るのです。むやみに解熱鎮痛剤を飲んだり粒塩やナスのハミガキで磨くと、一時的に症状は軽くなり、休力があれば治ったような気になりますが、原因は残っているので、いつ再発するかわかりません。バイ菌を有効に抑えるクロルヘキシジンを含んだ洗口剤をハブラシに直接つけて磨くことが、歯槽膿漏や口臭が気になる人に効果があります。食物を口にいれたらすぐに手入れをしましょう。

1994年8月マイタウンらぶりぃあさお掲載
虫歯の治療
誰でも自分の歯を削られるのは嫌なものです。小さな虫歯と思っていても、エナメル質の下の象牙質では大きくなっていますから、単に詰めるだけで済まないことが多いのです。最近は咬みあわせの面の虫歯は、少なくなっています。一応は皆さん磨いているので、平滑面の見える範囲の虫歯か少ないのです。虫歯ができた時、発見しやすいですし、食ぺ物がつまってしみたり痛くなったりするので比較的早目に、簡単な治療で終わります。ところが歯と歯の間の接触点や歯肉が下がってできた根面に虫歯ができると、食片圧入で痛くなりません。ゆっくり大きくなって神経に近づいても軽くしみる程度ですぐに歯髄が適応して感じなくなります。最後に歯髄が死んで化膿して痛みが出た時には、ほとんど中の象牙質を削ることになります。神経を取り、根の治療に2〜3か月もかかってしまいます。

1994年9月マイタウンらぶりぃあさお掲載
道具と材料の進歩
物を売買するように、入歯やかぶせる冠を考えることはできません。それらは10年もの間、口中で正常に機能してその性能が保証されるべき物です。身体を作る「食」という毎日の作業を維持するのは、実はとても大変なことなのです。本来接着しないものどうしをくっつけるのですから、金属にしてもセラミックにしても接着用のセメントを使っています。口中は、アルカリ性から酸性まで、温度はO度から50度位まで変化する多様な環境で、しかもウィルスやバクテリアがいて湿っています。さらに24時間内に、何百回となく噛む力を受けているのです。これは平均で30L、瞬間100Lをこえることもあります。厚さ数ミリの物が、力をうけて変形したりすりへったりしないはずがありません。外見は正常でも、接着面のセメントはぼろぼろになって細菌が繁殖し、一次カリエスが始まっています。

1994年10月マイタウンらぶりぃあさお掲載
虫歯をふせぐ方法
虫歯の原因である細菌と戦う方法を考えてみると、磨き方や磨く道具、殺菌力のある歯磨き粉、それらの条件が全てそろっても虫歯になってしまいます。あなたの体の強さ(健康度)も大切なのです。あなたやお子さんの歯質、エナメル質の強さの元ー緻密なアパタイト結晶が形成されているでしょうか。胎児期(妊娠1か月半)で乳歯の石灰化が開始し、妊娠8か月には永久歯もできてきます。妊娠中から栄養のバランスを注意することはもちろん、カルシウムはリンとバランスよくとると、吸収されやすくなります。WH0の統計で上水道にフッ素が添加されている国、フッ素溶液による定期洗ロプログラムが実施されている国、砂糖の消費パターン(砂糖販売量が減りブドウ糖、果糖が増加)が変化している国、それらの国では70年代に30〜50%も虫歯が減少しています。フッ化物の普及が寄与しているのです。

1994年11月マイタウンらぶりぃあさお掲載
虫歯の治療法
入歯とは、取り外しができる義歯のことで、外せない義歯はブリッジと言います。歯の表面的な虫歯は、細菌に冒された部分だけを削り、穴に詰めるので充填と言い、金属インレーや瀬戸物(ポーセレン)インレーが丈夫です。前歯の充填には、歯と同じ色をだせる複合材料のコンポジットレジンが、多用されます。しかし、耐久性が悪いので、5〜6年でやり直す方が良いでしょう。歯のエナメル質は、口で中に出ている表面を覆っている厚み1汕ネ下の部分で、バイ薗の酸に抵抗性があるので、虫歯が大きくなりにくく、見た目には変化がないように見えます。しかし、穴が直径1氓ノ近ければ、虫歯は既に内側の象牙質に達している可能性が高く、中は2〜3倍の大きさになっています。そうなると、神経を抜いたりするので削る部分も多く、金属やCRで土台を作って、その上にクラウンをかぶせます。

1994年12月マイタウンらぶりぃあさお掲載
レーザー歯科治療1
医科の方面でほ、かなり普及してきているレーザーですが、歯科治療においても、急激に広まりつつあります。ターピンなどで歯を削るように、レーザーで窩洞を掘るという目的より、エナメル質(歯の表面の層)に限られたむし歯にレーザーをあてることで蒸散消毒させてしまう治療が、メインになってきています。レーザーを歯の表面にあてるとガラス状になり、酸に対して抵抗性をもち、むし歯になりにくくするという研究結果がでていますので初期のむし歯や、予防処置に適しているといえると思います。その他の適応症として効果を発揮するのは、歯肉や口の中の粘膜のメラニン色素を除去できることです。以前はメスで除去するなどしていましたが、出血をすることなくレーザーをあてることで除去できるようになりました。