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1999年「マイタウン らぶりぃあさお」掲載記事より。
1999年1月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美5 |
前回のフルセラミックタイプのものは、メリットも多いのですが弱点もあります 。IPSエンプレスに関しては、材料コストが高く、焼固める時に生ずるひずみをコン
トロールする、テクニックをマスターした技工士さんが少なく歯を削る場合に歯医 者さんもその材料に関して十分に臨床経験を積んで安全性の高い形を作らなければ
、十年以上にわたる安定した予後を得にくいことです。新しい材 料や器具を導入し た場合、全てにおいて言えることは、やはりいつも行う先生、技工士さんたちが一
つ一つの製作物をどれだけ愛情を込めて作りこんでいるか、また経験が豊富かによ って、予後は左右されるのです。新しい材料、テクニックを用いても術者の考え方
が結果の性能を左右します。患者様の要望を的確に聞きだし、製作物に反映させる 。これは私達が反省させられ、また挑戦するところなのです。 |
1999年2月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美6 |
せっかくお金をかけて白い歯をいれても、先生や技工士さんが愛情を込めて作った ものでも、元の形成歯の噛み合わせとか、形、サイズの関係で、患者様のイメージし
たものと違う場合があります。必ず、形成前、仮歯のセット後と二度、三度と患者様 と鏡を見ながら、納得できる色と形、と噛み合わせの機能のバランスを調整し、安定
して口の中で取れることなく二週間使えれば、本作製に入ります。さて、患者様のお 口の中に試し付けする時は、先生、技工士でもドキドキしています。手作りオーダメ
イドの噛める宝石です。完璧に出来上がっていると確信して、ここでつい患者様にセ ット直前の確認や、難しいケースの場合の仮付けを忘れて、セットしてから形にクレ
ームがあり、泣く泣く作り直しをしたケースもありました。入れるのなら自分の歯よ り良いと感じられる歯を入れたいですもの。 |
1999年3月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美7 |
前々回に書きました、オールセラミックスブリッジの耐久性がさらに増したIPSエ ンプレス2という新製品が発売されました。従来のエンプレスより耐久性が増してさ
ら に安心して使えるようになりました。このように歯科材料は毎年性能が向上し、 金属を使わずに修復できるようになっています。これはアレルギー体質の人々には、
大きな福音となります。環境ホルモンや化学物質によって過敏症になりアトピーや喘 息、手足口病、川崎病などの原因不明の病気の発症を促すアクセレーターである金属
イオンを口腔内に使わないということです。口腔内金属については保険適応メタル、 14Kゴールドなど世界的にみても日本だけの合金であり、このような性能も悪く、健
康に影響のあるメタルを使い続けることは医療人として心が痛みます。自分自身また 孫の世代まで健康な心身でありますように。 |
1999年4月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美8 |
なぜ、今セラミックなのでしょう?これまで使われてきた歯科材料は、戦後昭和二 十〜三十年頃の経済力の状況で考案された皆保険で、必要最小の安定性を追及した苦
肉の策です。歯科用アマルガム合金(銀粉、水 銀)、歯科用銀合金、歯科用パラジ ウム合金、果ては歯科用ニッケルクロム合金と、およそ人の口の中で使用するには組
成を観れば、今の私たちの知識ではぞっとするものです。物理化学的に安定している はずですが、摩滅して胃の中へ入って、塩酸という消化液で洗われ、栄養食物と作用
して消化吸収されることがわかってきています。ごく少量のppmレベル濃度で生態 系に入り込み、影響を与えることがわかってきました。 私たちの人生は六十〜八十年ですが、その人生の間に得た影響は、孫の代まで残る
のです。今のままで私たちの未来はあるのでしょうか? |
1999年5月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
触から食へ |
人の楽しみのひとつに食を味わうことがあると思うのですが、最近の皆さんの食べ 方 を見ていると、味わうことが減り形だけ食べて満足して、一人で味気なく、人と
食卓 を囲む楽しい食事をする機会が減っていませんか。さらにきれいな水ときれい な空気を吸い、たばこやお酒、糖質や脂肪の多い物、カフェインの多い物を食べない
ようにし、食事の時に食物繊維を多く、飲料を多く取りすぎないようにしていれば、 身体の中の体液、血液は健康でさらさらとし、体内をくまなく巡って酸素の供給から
、老廃物の運搬まですべての身体内代謝が正常に行われます。その結果として、体の 機能と脳の活動は安定し、バランスのとれた感情と判断力が発揮されます。脳の活動
はバランスのとれた自律神経をうみだし、おいしく食べ物を味わい、消化吸収するの に必要な量の唾液と消化液の分泌を促します。 |
1999年6月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美9 |
歯医者は病気を診断し処置方針を作り、治す手助けをする医者です。また 金属やセメ ントに関する材料学、応用力学に基づいたブリッジや入れ歯を設計製作す
る技術者、 製作者でもあります。二十年位前までは先生たちが徹夜で金属冠を鋳造し ていました が、技工士という専門の技術者に任せ、医者の役割に比重を移してきまし
た。ただし 口の中で精密に削る技術、設計は接着材の進歩と共に、より重要なことに 変わりあり ません。歯科医の影の功労者は技工士で、この優秀な人材を抜きに、今の
歯科の処置 は考えられません。私たちの設計が適切であっても、出来上がった冠やブ リッジ、入 れ歯などの補綴物が粗末では、虫歯や歯周病になってしまいます。各人の
口に合わせ て精密に再現する技術は、まさに芸術です。ただ残念なことは神様が作ら れた自然な 物と比べ、寿命が極端に短いことです。 |
1999年7月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美10 |
口の中の歯を治したり虫歯をうめたり、歯にかぶせたり、入れ歯の土台 部のばねや 連結部は金属が使われます。通常保険ではパラジウム合金、ニッケル合
金、水銀合金 (アマルガム)、14金が用いられています。自由診療では先生により異な ることがあ りますが、保険外メタルとして18金以上の金合金、チタニウム合金、セラ
ミックが用 いられています。メタルの性質として一般的に電気を通し、酸やアルカリ に腐食して 金属イオンが溶出するということです。あなたの口の中の金属をよく見て
下さい。種 類の違う金属が用いられていませんか。 表面の光沢、色が異なっていれば 明らかに 違う金属です。小学校の理科の実験で食塩水の中に二種類の違う金属を入
れると、電 気がついたのを覚えていらしゃいますか。これと同じことが口の中でもお きています 。これをガルバニックアクションといいます。 |
1999年8月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美11 |
あなたの口の中に種類の違う金属が用いられている場合、 ガルバニックアクショ ンという現象が起こり、電気が流れ金属
イオンが溶出し続けます。当然食べ物の味はまずくなり、 スプーンやフォークを使えば電気が流れ、チクチクすることもあります。 当然金属イオンは身体に吸収されやすくアレルギーの原因にもなります。
長期に渡ればアレルギー以外にも影響が考えられます。 まず、口の中の金属をチェックし一種類に統一しましょう。 もしくは保険外治療になりますが、セラミックだけを用いたり、
チタニウムメタルを用いた、身体親和性のある材料にとりかえるべきでしょう。 保険でも小さい詰め物ならばコンポジット(ハイブリッド)で治療できます。
長期に渡る安全を考えると第一に予防に努め虫歯を作らない、 第二に虫歯になったら自由診療で治療したほうが材質的に安全でしょう。
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1999年9月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美12 |
身体の入り口である口腔内に使われる材料は、安全性と言う観点からそろそろ、保 険材料も見直しが必要だと感じます。戦後の経済の復興と共に保健用歯科金属の銀パ
ラジュム合金の金含有量も2%から12%、昭和51年に金の価格低下で20%になり、す ぐに価格の高騰で12%にもどされ現在になっています。 私たちの国民所得は戦後何倍にもなりましたが、私たちの身体に使われる保険材料
はいまだに戦後昭和のままです。金属学的性質、機械的性質、生体安全性の観点から 今のパラジュウム合金はより高品位に改良されるべきでしょう。特に最近は金価格は
さがり、パラジュムは排気ガス触媒の需要で高騰して逆転しています。銀の価格も大 変に低くなっています。同じ保険料でも、100%近く輸入の貴金属材料のコストは円
高メリットを国民の口の中に還元してもらいたいものです。 |
1999年10月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
審美13 |
現在市販されている保険用金銀パラジュウム合金の成分は金12%、パラジュウム20% 、 銅15〜20%、亜鉛(脱酸剤)1%、イリジュウム(結晶微粒化)微量銀47〜52%
らしいです。最近の金属の国内価格の変動で見れば、銀やパラジュウムを減らし、よ り高品位の金の量を増やすべきでしょう。そうすれば金属イオン特性も良くなり、虫
歯の治療後の金属不適合、硬さによる歯の根の周囲組織への負担軽減になり、根管治 療後の根尖の免疫炎症も少なくなり歯科治療の予後経過が長く安定し、ムダな再治療
が減り医療費の削減になると感じている歯医者は多いはずです。技工士たちも鋳造操 作で、とても質の高い適合性の優れた難しいテクニックや失敗が起きにくい金が多く
含まれた合金を望むでしょう。口の中でより安定して安全な、さらには見た目も良い 金属を私たちは選ぶべき時ではないでしょうか? |
1999年11月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
受診の心得 |
歯は一生の友です。ほとんどの病気が歯を中心に起こるといっても過言ではありません。
医療は患者と医師との信頼からなるもの。痛み始めてから、あわてて歯医者に行く のはやめましょう。医師にかかるときには、誰でも緊張するものです。それがすでに
痛みが起きてしまっていて、初めての医師にかかるとなるとなおさらです。 日頃歯の定期検診などをして、医師に自分の体を知っておいてもらうことです。例
えば、アレルギーのある人、妊娠中、他の病気があるかなどです。お互いの交流で性 格を知っておくことによって、人間関係も円滑になります。 その結果、虫歯も早期に発見することができ、万が一、痛みが起きたときでも、冷
静な心で、医師にかかることができます。お互いの信頼からくる治療は、鮮やかで気 持ちよいものです。 |
1999年12月マイタウンらぶりぃあさお掲載 |
幼児の受診
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お子さんの治療は、午前中に受けるようにしてください。午後になると、眠くなった
り疲れたりしていて、治療に飽きてしまいます。 治療の回数は、大人の場合より長引きます。口が小さいため完全な処置をするには 、熟練した技術を要し、しかも一回の治療にそう長くは時間はかけられません。一回
で二十分が限度で、あまり長いと飽きてしまったり、以後いやがったりします。先生 とどのくらい通院すれば完治するか相談して、都合をつけてください。
いやがるお子さんを通院させることは大変ですが、「言うことをきかないと歯を抜 かれる」とか「注射してもらうよ」という言い方は、お子さんにお医者さんはこわい
ものと教えていることになってしまします。逃避的な態度でなく、歯が悪いから治さ なければならないことを理解させることが大切です。 |