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すくすく育て!元気な歯!

 
-MyTownらぶりぃあさお掲載記事より-
1993年12月1日号

PART3:

半年に一度、歯の定期検診を受ける事はとても大切で、半年毎の歯の日は意義ある日だと思います。  ホワイトファミリーつつみ歯科のスタッフにお集まり頂き、「歯と健康パート3」についてお話しいただきました。

ハミガキの歴史は原点へ向かう!

鎌田)月一回のミーティングでは話せないテーマなので、衛生士さんともども、楽しみにしています。

斉藤)今年、サンスターCGコマーシャルは良かった。歯の根元にポケットがあって、手入れは毛先で、しかも優しい(柔らかい)毛のブラシで磨く。そういうイメージがはっきりしていました。

堤)グラフィックアーティストも勉強しないと、正確な動画は描けない。南カリフォルニア大学にいたとき、専任のアーティストが5、6名いて、いかに正確な解剖絵を描くか組織学や病理を勉強していたし、ドクターにも好きな人がいて、夜中まで教材を作っていた。専門を越えた交流がもっと必要だけど、歯科という学問がもっと魅力的になれないと、他分野の技術の移入は増えない。

K)でも絵が正確なだけに、間違いがあるとだまされやすい。フィニッシュコーワの液が喉にかかり、スーと腫れが治るところは、実際にスーと治る暗示が強いもの!アーよく効くんだと思ってしまう。

T)ライオンの液状ハミガキは微妙なネーミングだね。ここ10年間、エスエス製薬のCHX洗口液の液でハミガキをすること、歯間ブラシや糸ようじを使うことを患者さんに勧めてきたのですが、ようやく、液体(水)ハミガキが社会に受け入れられるようです。ハミガキの発達の歴史は原点に戻った。大昔は葉や木枝を噛んで、その樹液の抗菌性で口の中の臭みを抑えていた。クレンザーのような研磨材で磨くようになったのは近代になってから。工業化が進んで、研磨材、発泡剤、香料が入った練り歯磨きが出来る。タバコのヤニがバリバリ落ちるほど研磨材も堅く、ざらざらした大きい物が入っていた。やがて、研磨材は細かくなりペーストからゼリー状に。透明な物が出て、この10年はさらに軟らかくジェル状、液状、液体と変化している。

ばい菌とともに生きる?

K)時代は優しさを求めている。(笑い)目に見えるほどきれいになるものは副作用も大きい。1日1回のハミガキでも、ゴシゴシと研磨材入りので磨いていれば、20〜30年もすると歯の根元が2〜3mm削れてしまい、ムシ歯になったり、歯がしみてくる。歯肉も下がる。これは、10年使って初めて分かる。メーカーは良いことしか宣伝しない。裏の副作用に注意しないと。

西谷)抗菌剤が入ったタイプはサンスターからGUMデンタルリンス、リーチからデンタルリンスが出ています。ライオンからようやくシステマデンタルリンスが出て、揃った感じだけど。ねこも杓子も抗菌剤というのは下水の汚染につながるので、健康な人は水道水で十分でしょう。

K)どうも私たちは自分たちがよほどきれいな所で生活していると錯覚して、ばい菌と言うと徹底的にきれいに落としたいと思う。でもそれは不可能なことなんで、口の中も腸の中も200種以上のばい菌がいて、ばい菌の中で生活していること、共に生きていることを忘れがち。ばい菌にやさしいと言うことは、私たちの細胞にもやさしい。

S)水道の水は次亜塩素酸で消毒してあって、塩素はトリハロメタンやダイオキシンなど有害物質になるわけでしょ。抗菌剤も同じ環境汚染につながる。塩素消毒の水で充分。お口の病気の方が使う位にして欲しい。

K)お互いに共生していくには、ばい菌が増え過ぎないように毎日掃除して、洗ってあげることが大切ななの。手抜きをしているとばい菌が増えて、性質のわがままな病原性の強い種類が多くなる。

T)社会と同じだね。スラム化した街に人があふれていれば、ギャングやチンピラが多くなる。一度増えてしまうと一斉検挙しても、後から後から増えてなかなか減らない。だからって戦車で殺せば、天安門と同じ。副作用が怖い。

寿命が伸びて、歯も削られた

K)口の中も手入れ残しがあれば、そこの部分でばい菌が増えて、層のように厚くなる。そればプラーク(歯垢)で、しかも、ばい菌は自分たちを守りお互いがくっついてコミュニティを作るためベタベタの粘液を出すの。だから、プラークが出来てしまうと、ブラシで擦っても、お皿についたバターをフォークで引っ掻いているのと同じ。

T)同じ所を何回も擦っても取れないわけ。プラークの中には空気が入りづらいので、嫌気性の炎症やアレルギーの免疫抗原性の強いバイ菌が多くなる。コレはなかなかタフな奴で、こういう嫌気性のバイ菌を増やしてしまうと、なかなか減らせないし、歯肉の病気がどんどん悪くなる。

N)人の寿命が延びて、食後の手入れはやさしさを求めている。スパルタで鍛えると言う感覚は古い。(笑い)日本の特技でしょ、鍛えれば強くなるというのは。

T)100円タワシで擦りすぎて面の皮が厚くなる。皮膚も同じでスクラブが良いといっても、「毎日ゴシゴシ」は皮膚の細胞がかわいそう。カサカサになって、自然に出てくるラノリン油も足りず、保湿剤を塗るわけ。(笑い)手入れし過ぎて、自然の営みを壊して、それをまた手入れする。適度は難しいネ、ニホンの川や自然みたい。やがて手に負えなくて、破壊される。 H)人間の浅知恵が、自然のバランスを壊して、自分の体でも同じことをしている。

K)プラーク(歯垢)自体はばい菌の集落だから軟らかいわけで、研磨材や硬い毛のブラシで擦る必要がないのに、10年前までは歯周病専門医でさえ歯応えのある、歯肉を刺激するハブラシを勧めていた。

T)今もいっぱいいるよ。そういう先生。硬いハブラシはダメともう一度言いたいね。でも、患者さんはバカではない。説明すればいいの。硬いブラシも理屈がある。根本は使い方なんです。その道具をどう使うか、使いこなせない人が多ければ、使いこなしやすい物を勧める。心理的に几帳面で真面目な人が、硬いブラシで一生懸命手入れし過ぎて、ひどい目にあっている。

ハミガキのレッスンを受けよう ハブラシは「ソフト」を選ぶ!

T)ムシ歯を克服した国は増えているけど、日本はまだです。カルシウム不足が大きい。高齢化が進んだ国の問題は、やはり、知覚過敏(冷たいのがしみる状態)と、磨きすぎの歯の摩耗です。それまでの人生での、磨き方が強すぎた結果です。次の原因はブラシの硬さとハミガキの中の研磨剤です。

T)良い物を作っているメーカーは多い。コルゲート社の新製品は素晴らしい。ハブラシもハミガキも良いです。バトラーも種類の豊富さでは良いのですが、基本は押さえてもらいたい。買う時に種類が多くて迷うでしょ。

M)使い方次第で同じですもの。ただ傾向としてソフトは害が少ない。自分の皮膚の弱い所を擦って痛く感じる毛は、長く使うと害が出やすい。硬さがふつうと表示してある物はほとんどダメ!?

K)スーパーで安売りしているからって、気軽にブラシを買わないで、ソフトを探して下さい。そして、必ず専門の衛生士さんから、指導を5回ぐらい受けて下さい。半年後にまた、チェックとクリーニングを受ける。そうすると、2年ぐらいで完璧に手入れが出来るようになります。自己流を自覚していない、適当でもよごれは取れにおいも防げるといった感じで、ムシ歯にならなければ、1回も歯科医院に来ない人もいる。(笑い)

T)50才ぐらいになって削れて、根元のムシ歯と歯周病でボロボロと歯が抜けて行く。俺は大丈夫と自信のある人や、そこそこ手入れをしている人でも必ずなります。

N)自覚した時は人生の折り返し地点で、今まで何して来たのかなと。手遅れです。

T)お母さんに幼児期に食べた後の始末、手入れをしつけて欲しい。小学校低学年で基礎を覚え、テクニックは5年生までに習って欲しい。

K)柔らかいハブラシも使い方が正しいと6か月以上使えて毛先が開かない。柔らかいと毛先が開きやすいでしょ。それが、磨き方のバロメーターになる。開いて来るようだと要注意。磨き方を習った方が良いです。

T)ブラシの毛の部分が小さいのも問題。磨くのに時間ばかりかかる。毛束の本数が多くないと。1度に3歯ぐらい届く大きさが良い。ブラシを小さく動かす「毛先磨き」を行うのですから、殖毛部が丸く、大きさが必要です。お母さん、ゴシゴシ力を入れてお子さんの口を磨かないで下さい。まず、お母さんから磨き方を覚えてもらいたいです。

T)電動ハブラシを使うのも良いです。ソフト替えブラシで。お勧めは回転式のブラシのものです。中でもボシュロムのインタープラーク、ナショナルのスイングブラシとパワーフロスです。電動ブラシでの1分間は、手の5分間に当たります。磨き方の基本をマスターして下さい。

糸ようじや歯間ブラシを使う!

K)ブラシよりももっと、大切な事がある。歯の間のプラークはブラシで取れない。どんなに丁寧に磨いても50%ぐらいしか磨けない。つまり磨いても残りの50%からムシ歯や歯周病になる。"磨いてもムシ歯になる"という本があったけど、後が大切なの。 T)口の中で見える所は普通、エナメル質で覆われています。歯の根元の周囲は歯肉の中に入り込んだ深さ2mmの溝が走っている。歯肉と歯の堺で、歯周ポケットといいます。25才になったら、毎日ポケットの中のばい菌も掃きだして掃除しておかなければ、嫌気性菌が増えて、ポケット底の歯と肉の上皮結合が壊れて歯周病になります。10年さぼると、2mm近く骨が溶け、歯肉が下がり、根面が露出します。根面はエナメルに覆われていないので、歯ブラシで摩耗し、虫歯になる。サンスターに続いて、ようやくライオンも歯周ポケットの事を宣伝に載せました。ようやくここまできたか、と…。

M)ハブラシだけでは歯の根元や歯と歯の間を磨くのは無理があると思うわ。歯ブラシはほんのお片付け程度の掃除しか出来ない事を自覚してもらいたいです。毎食後すぐなら「片付けブラシ」だけでも、食べカス、栄養分を流す意味はあるワ。でも夜の寝る前はしっかり歯ブラシの後、仕上げに歯の間と根元を糸ようじと歯間ブラシを使ってもらいたいです。お勧めはライオンのウルトラフロス、ナショナルのパワーフロス。

T)歯間ブラシや糸ようじも使い方が難しいので、確実に使える様になるまで、習ってもらいたいです。この道具も正しい物を選ばないと、10年後に後悔する。

司会)今日はありがとうございました。これをチャンスに定期的に歯科医院に通い、掃除と歯ブラシ指導を受け、歯周病やムシ歯とさよならの人生を送りたいと、つくづく感じました。

あなたの歯と健康を守る10カ条 −8020(80歳で20本を)達成のための提案−

1) 全身の健康管理に気を配る。

2) 1日30種類以上の食品を、1口30回以上噛む。

3) 野菜や歯ごたえのあるものをできるだけ食べる。

4) 清涼飲料は避け、飲料に砂糖を入れない。

5) 食品は薄味で、インスタント食品は避ける。

6) 食後は必ず口の中の食べカスを除く。

7) 歯の清掃は歯ブラシだけでなく、歯間用の糸ようじや歯間ブラシを使う。

8) 6か月毎に少なくとも3回以上は歯ブラシ指導を受ける。

9) 30歳から定期的に検診と歯石掃除を受ける。

10) 不安を感じたら症状が無くてもまず受診する。

庄司文明(農文協より) 堤一樹、一部改案

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