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韓国で歯科用合金のベリリウム添加で発がん性めぐり物議  

韓国UD歯科:補綴物使用発がん性めぐり物議、歯科用合金"T3"全量回収へ

日本でも議論を呼んだ、ベリリウムについては、日本で海外委託技工問題が議論された時に問題になったのが、中国・歯科技工所で製作された補綴物にベリリウムが含まれていたこと、その補綴物が日本国内への輸入されていることがクローズアップされ社会的問題になった。韓国でも、ベリリウムが含まれている合金:"T3"を巡って、韓国最大の歯科グループのUD歯科と大韓歯科医師協会の対立・議論が続き、この状況・経緯をこのほど朝鮮日報(8月23日付)が報じた。内容の概要は次のとおり。

『UD歯科が補綴物に発がん性物質を使用している』とする大韓歯科医師協会の暴露に対し、UD歯科がこれを強く否定し、双方の攻防が過熱している。

こうした中、発がん性をめぐり物議を醸した歯科用合金"T3"について、全量回収措置が下された。 "T3"は歯と同じ色をした「セラミックの歯」を作る際に使われる合金製品で、全量を米国から輸入している。"T3"には、鋳造を容易にするベリリウムが含まれている。

"T3"の発がん性について調査してきた食品医薬品安全庁は8月23日「発がん性物質ベリリウムの含有基準を超えた歯科用合金"T3"を全量回収するとともに、輸入業者のハンジンデンタルを告発し、同社に6カ月間の輸入業務停止処分を下す」と発表した。だが、"T3"に含まれるベリリウムが人体に及ぼす影響については「加工する際に発生するベリリウムの粉末やガスを長期にわたり吸い込んだ場合、肺炎や肺がんなどを引き起こす可能性はあるが、(セラミックの歯として)装着した状態では発がん性はなく、施術を受ける患者も安全だ」と説明した。

食品医薬品安全庁はまた、2008年に歯科用合金のベリリウム含有基準を「2%以下」から「0.02%以下」に強化し、基準に合わない製品の輸入を禁止する旨を各業者に通告したが、ハンジン・デンタルはこれに違反したと説明。現在流通している歯科用合金78製品(71製品は輸入品)について再調査を行い、ベリリウム含有基準を上回る製品に関しては販売を中止し、全量回収する方針だ。

昨年輸入または生産された歯科用合金は約30トンで、セラミックの歯1000万〜1500万個分に相当する。"T3"は歯科用合金市場で56%を占めている。

UD歯科は韓国国内に119支店を構える歯科グループで、1万7000人余りの一般開業医が所属する大韓歯科医師協会には加入していない。双方は互いに違法・過剰な治療を行っていると主張し、暴露合戦を繰り広げているが、歯科医師協会は先ごろ名誉棄損、患者誘引・あっせんなどの容疑でUD歯科を告訴した。

ベリリウムについては、かつて海外委託技工問題が議論された時に、中国・歯科技工士所で製作された補綴物にベリリウムが含まれており、その対策の急務が指摘されていた。

日本と取引があるという中国の歯科技工所の3か所の補綴物に1.2%から1.9%の有害なベリリウムが含まれていた。一般に、ニッケルにベリリウムを入れると、低い温度でニッケルが溶けるので歯科技工作業を容易にしやすくなるとされている。日本では、歯科合金へのベリリウムの使用を禁じている。当時を知る某教授(歯科理工学)「ベリリウムの体に対するは発がん性の問題から、合金にベリリウムの添加が必要であるのかどうか、当時の厚生省からの諮問を受け、議論を重ねた結果、"ベリリウムを特に加える必要はない"と学会として見解を出したことで、厚生省としては、ベリリウムの添加は禁止という見解になった」と説明している。


2011.8.26 提供:Dentwave.com