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根管長の測定

 根管長測定器は、わが国のオリジナルで、世界中で活用されている医療機器です。
この装置は、根尖孔とその周囲組織を損傷することなく、つまり勘に頼らずに根尖
部をみつけたいという強い願望が生み出したもの。根管治療は、正確な根管長の測定から始まり、補綴処置はエンドから始まると言ってもいいでしょう。その意味で、この測定器を上手に使いこなすか否かは、治療の質全体を決定づけかねないのです。
根管長の測定に始まり、指先に感覚を集中した根管の探索、アピカルシートの形
成・・・・・、きれいに根管充填の終わったエックス線写真を見るときには、臨床医はささやかな満足を感じると言われます。

根管長測定器の原理は、口腔粘膜と根管内に挿入した測定電極の先端との間のインピーダンス値を測定することにより根の長さを知るものですが、初期の装置は、ファイルを動かすことに伴う微妙な針の振れ方を見て、それを経験で補う必要がありました。その経験が「エンドの得手不得手」のひとつの決め手になっていたよう
です。その根管長測定器も、改良に改良を重ね、現在では根管内が乾燥していなくても、根尖孔が吸収されていても、あるいは彎曲根管であっても、つまりどんな悪
条件でも正確に根尖部を特定できるようになっています。

最初の製品化は1969年(小貫医器のRoot Canal Meter)と古く、さらに早くも1978
年には電気的根管長測定検査が保険適用となりました。当時の製品は、根管内が乾燥していなければ精度よく測定できないという欠点がありましたが、三種類の異なる周波数を用いるように改良されて精度が飛躍的に上がりました。この時代(1980年代)に、ルートzx(モリタ)、アピット(長田)、ジャスティU (ヨシダ)など現在の主要製品の初期型が登場したのです。それ以降は、精度の向上、小型化、データの補正、液晶ディスプレイとその改良など、だれでも簡単に測定できる製品開発が進みました。各社とも、「フルオート」などと宣伝していますが、根管長の正確な測定には、電気抵抗だけでなく手指の感覚やペーパーポイント、エックス線写真がいまも重要であることに変わりはありません。

そういうわけで、主要製品は甲乙付けがたいのですが、臨床医にとっては使い慣
れたものが何よりなので、囲内も海外もモリタのルートzxの地位は揺るぎません。
しかし、アピット(長田)もジャスティ(ヨシダ)も日々バージョンアップしていますので、新たに導入する方は、現物を比較検討することをお勧めします。

2013年3月11日 提供:ケーオーデンタル株式会社