同様環境に130人
福島第1原発事故で作業した東京電力の男性社員2人が多量の内部被ばくをした問題で、同社は3日、2人の外部被ばくと内部被ばくを合わせた線量が、今回の事故で設定された上限の250ミリシーベルトを超えたと発表した。被ばく線量は30代社員が約284〜654ミリシーベルト、40代社員が約289〜659ミリシーベルト。
診察した放射線医学総合研究所(千葉市)は「甲状腺の機能低下など人体への確定的影響は考えられず、治療や投薬の必要はない。今後は一般の人と同様に、がん検診を受けてもらう」としている。2人は現在、福島第2原発で働いている。
東電の松本純一(まつもと・じゅんいち)原子力・立地本部長代理は「2人以外にも250ミリシーベルトを超えた可能性はある」と認め、事故対応の作業に伴う被ばくの深刻さが浮き彫りになった。同様の環境で作業した人は、1〜4号機で計約130人いるという。
内部被ばくの線量は、放射性物質を事故発生直後の3月11、12日に全量を体内に取り込んだ場合に最大となり、11〜31日に平均的に取り込んだ場合に最小となる。来週中に放医研で再度、線量を測定するほか、2人の行動を調べて取り込んだ時期を絞り込み、線量を確定させる。
2人は3、4号機の運転員で、3月11日から中央制御室や免震重要棟、屋外などで作業。13日に、甲状腺への放射性ヨウ素の取り込みを防ぐヨウ素剤を服用していた。東電はその後の服用やマスクの着用状況などを調べている。
緊急時作業の被ばく線量の上限は100ミリシーベルトだが、厚生労働省は今回の事故対応に限り上限を250ミリシーベルトに引き上げた。
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