福島第1原発事故で、作業員が大量の放射線に被ばくしていることが次第に明確になり、東京電力の放射線管理が疑問視されていた。17日公表した工程表の見直しで、東電は「放射線管理と医療」という課題を新たに挙げ、作業員の健康問題に取り組むことをようやく打ち出したが、事故収束までの道のりは遠く、対策の徹底が欠かせない。
今回の事故で設定された被ばく線量の上限250ミリシーベルトを超えた作業員が計8人と判明した翌日の6月14日、東電の担当者は、大量被ばくの背景について「事故当時は中央制御室も停電していて、作業員は原子炉を守るのに必死だった」と説明。健康管理が後回しになっていたことを認めた。
当初は1人1個の線量計はなく、100ミリシーベルトを超えた作業員は既に100人以上になった。
放射性物質を取り除くフィルターをマスクに付け忘れた作業員がいたことや、第1原発の敷地内で作業員がマスクを外して喫煙をしていたことも新たに判明。厚生労働省や経済産業省原子力安全・保安院は「極めて遺憾」と不快感を示した。
被ばくの全容はまだ不明だ。東電は3月に作業に当たった約3700人のうち、検査をしていない約1360人の計測結果を6月20日までに厚労省に報告する予定。柏崎刈羽原発(新潟県)や東海第2原発(茨城県)で内部被ばくを測定するホールボディーカウンターで計測を進めている。
見直した工程表で東電は、作業時間の厳密な管理やホールボディーカウンターの増設などの放射線管理や、第1原発にある免震重要棟に医師が24時間常駐することなどを盛り込んだ。夏に向け、作業環境はより過酷になっていく中、被ばく対策と健康管理はますます重要になる。
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