東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質は、東北だけでなく関東や甲信越など広範囲に拡散し、ヨウ素131の13%、セシウム137の22%が東日本の陸地に落ちたとの分析結果を、国立環境研究所(茨城県つくば市)の大原利真(おおはら・としまさ)・地域環境センター長らが25日までにまとめた。
大原さんらは、大気汚染物質の拡散を予測するモデルを使い、3月11日の事故発生から3月下旬までに、放射性物質が東日本でどう拡散したかを分析した。
放射性物質は風に乗って移動し風や雨の影響で地面に沈着。北は岩手や宮城、山形の各県から、南は関東を越え静岡県にも届き、新潟や長野、山梨の各県にも到達した。
ヨウ素131の沈着は風の影響が大きく、セシウム137は風に加え雨とともに落下する。一部の地域で問題になっている局所的に放射線量が高い「ホットスポット」の出現は、雨の降り方などが影響したと考えられるという。東日本の陸地に沈着した以外の放射性物質は、大半が太平洋に落ちたとみられる。
結果は米地球物理学連合の学会誌に掲載された。