セシウムが体内から減少?食物繊維の除染効果?

体内セシウム、リンゴの食物繊維で除染へ…弘前大

 弘前大学(青森県弘前市)は、東京電力福島第一原発の半径20キロ内の警戒区域にある福島県浪江町で、町内の放射性物質の汚染状況について長期的な調査に乗り出す。

 土壌や住宅の除染技術を確立し、避難住民の帰郷を助けるのが目標で、早ければ月内にも町と協定を結ぶ。

 同大は東日本大震災直後の3月中旬以降、政府の要請を受けて医師や看護師などで構成する調査チームを32回にわたって福島県内に派遣した。3月の浪江町での調査で、地元の区長から「土壌を調べてほしい」と要請を受けたのを機に同町との交流が広がったという。

 県内には多くの原子力施設が立地しているため、同大には、先端設備を備えた被ばく医療総合研究所がある。放射線医学を専門とする医師が多く、土壌や水質、住宅、動植物などの放射性物質の汚染状況を調べ、除染技術の確立を目指すことができると判断した。

 住民の健康調査も行い、体内の放射性セシウムが確認された場合、セシウムを除去するとされるリンゴの食物繊維を使った除染も試みる方針。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の被災者にリンゴの食物繊維を与えることで、体内の放射性セシウムが減少したという研究者の論文があるという。

 同研究所の佐藤敬所長が8月30日、浪江町の仮役場がある福島県二本松市で馬場有町長と面談し、馬場町長から「ぜひ協力したい」との回答を得た。

 佐藤所長は「正確なデータをできるだけ集めて町の再生に役立ちたい」と意気込んでいる。


2011年9月8日 提供:読売新聞