一般食品100ベクレルに厳格化 乳児用50ベクレル、
飲料水10ベクレル 厚労省案、来年4月適用へ
放射性物質で新基準
食品に含まれる放射性物質をめぐり、厚生労働省は20日、現行の暫定基準値に代わる放射性セシウムの新たな基準値案をまとめた。従来の5分類から変更することが決まっている4分類のうち「一般食品」は1キログラム当たり100ベクレル、「牛乳」と新たに設ける「乳児用食品」が同50ベクレル、「飲料水」は同10ベクレル。
いずれも暫定基準値(同200または500ベクレル)より大幅に厳しいものとなる。
22日に開かれる同省の薬事・食品衛生審議会の放射性物質対策部会で提示。年内にも文部科学省の放射線審議会に諮問し、来年4月に新たな基準値を適用する。ただし、コメや牛肉など食品の種類によっては、消費者や生産者への周知が必要として、暫定値のままとする経過措置を半年〜9カ月設ける。
新基準値の設定にあたり、厚労省は基準値の算定根拠となる年間の被ばく限度線量を、現行の「年5ミリシーベルト」から5分の1の「年1ミリシーベルト」に引き下げた。
「飲料水」は、全ての人が摂取し、代替品がない点などを踏まえ、世界保健機関(WHO)の基準に従い、年間の被ばく限度線量を0・1ミリシーベルト、基準値を1キログラム当たり10ベクレルとした。
残りの0・9ミリシーベルトを「一般食品」に割り当てた。年代や男女別、妊婦など10区分に細分化し、各区分の平均的な食事の摂取量や、放射性セシウムによる影響の受けやすさを加味して許容できる限度値を算出。
最も低い限度値は、食事量が多い13〜18歳の男性で1キログラム当たり120ベクレルとなったが、より安全な基準にする必要があるとして一般食品は1キログラム当たり100ベクレルとした。
さらに子どもは放射性物質の影響を受けやすいとされる点に配慮。粉ミルクやベビーフード、服薬補助ゼリーなど、乳児しか摂取しない「乳児用食品」や、子どもの摂取量が特に多い「牛乳」(加工乳、乳飲料を含む)は一般食品の半分となる同50ベクレルに設定した。
厚労省は、仮に新基準値上限の食品を1年間食べ続けた場合の年間の被ばく線量を最大で約0・7ミリシーベルトと推計。年間限度の1ミリシーベルトより低く、基準値上限の食品だけを食べ続けることも考えにくいため、実際には0・7ミリシーベルトをかなり下回るとみている。
※食品の基準値
厚生労働省は東京電力福島第1原発事故後の3月17日、現行の暫定基準値を設定した。その後、より適切な数値にするため、厚生労働省が内閣府の食品安全委員会に安全性の評価を諮問。食安委は10月に「被ばく線量が生涯累積でおおよそ100ミリシーベルト以上になると、健康への影響が見いだされる」「小児の期間は放射性物質の影響を大人より受けやすい可能性がある」と答申した。これを受け厚労省が見直し作業を進めてきた。