東京電力福島第1原発から西に約40キロ離れた福島県二本松市の山林で、カエルから1キログラム当たり最高6700ベクレル超のセシウム137が検出されるなど、食物連鎖の上位の生き物に高濃度の放射性物質が蓄積する傾向があることが2日、東京農工大と北海道大の研究チームの調査で分かった。
境優(さかい・まさる)・農工大特任助教は「地面に落ちている葉などの濃度に応じて生物の濃度が高くなるほか、食物連鎖で濃縮している可能性がある」と指摘。陸の生物は、狩猟対象の鳥獣など一部を除きデータが少なく、調査結果は放射性物質が生物にどう蓄積するかを解明する手がかりになる。
昨年8月、第1原発事故で放射性物質が降り注いだ二本松市の大沢川流域で生物を採取し、乾燥重量1キログラム当たりのセシウム137濃度を測った。
その結果、カエル類は種類により2397〜6732ベクレルを検出。サワガニが2843ベクレル、昆虫のカマドウマ類が4313ベクレル、オサムシ類が957ベクレルだった。カエルは食物連鎖で昆虫より上位にいる。現地の空間線量は昨年6月の航空機モニタリングで毎時1・0〜1・9マイクロシーベルトだった。
事故の影響を受けていない地域では、これだけ高い濃度のセシウムが検出されることは考えられないという。
約180キロ離れた群馬県みどり市の山林でもカエル類で396〜903ベクレル、カマドウマ類で403ベクレルなど比較的高いセシウム137を検出した。