原子炉事故: 4月



30キロ圏外も避難指示区域へ、飯舘村も対象に

2011年4月11日 提供:読売新聞

政府は、屋内退避指示が出ている東京電力福島第一原子力発電所から20-30キロ圏内について、避難指示に切り替えるとともに、新たに30キロ圏外の地域も避難指示対象とする方針だ。

 大半が30キロ圏外となる福島県飯舘村などを念頭に置いたもので、放射線量の計測値によって避難指示区域の拡大を検討する。

 枝野官房長官は11日午前の記者会見で、「放射線量のモニタリングの結果や気候などを踏まえて最終的な詰めをしている。同心円的な対応ではない。関係地域の皆さんとは話を始めている。風向きや地形にも影響される」と述べ、地元自治体とも調整を進めていることを明らかにした。

 政府はまた、避難指示を出している20キロ圏内について、指示に従わない住民もいるため、法的拘束力の強い「警戒区域」に設定する方針だ。同区域に設定すれば、市町村長により、強制力のある退去命令や立ち入り禁止などの措置を取ることが可能になる。枝野氏は会見で、「半年、1年を見通しての対応なので、しっかり準備する」と述べた。

福島県、2757か所で放射線測定へ

2011年4月11日 提供:読売新聞

 福島県は10日、福島第一原発の放射能漏れ事故以降、県内約70か所で行ってきた大気中の放射線量測定を大幅に拡充し、2757か所で実施すると発表した。

 公立と私立高校の全104校のほか、公園750か所、道路や公民館、商店街など、日常生活に即した場所に重点を置いて測定。そのうち20か所では土壌に含まれる放射性物質の濃度も調べる。

 県は、原発事故後、約70か所で放射線の常時測定を続けているが、住民からはより詳細な調査を求める声が寄せられていた。測定は12-15日、避難指示区域(原発から半径20キロ・メートル)内の4町を除く55市町村で行われる。

 地表から高さ1メートルと1センチのそれぞれの空間放射線量を測定し、翌日に速報値を公表する。

 さらに、70か所では空気中のちりを採取し、放射性物質の濃度を調査する。

原発20キロ圏を警戒区域に 住民の一時帰宅で政府 退去命令など強制措置

2011年4月11日 提供:共同通信社

 政府は10日、福島第1原発事故で避難指示を出している半径20キロ圏内について、住民の一時帰宅実施の前提として、退去命令など強制措置が可能な警戒区域とする方針を固めた。既に福島県内の関係する市町村に打診している。政府の指示に従わない立ち入りや一時帰宅した住民が退去を拒む事態を想定し、安全確保には規制を強化する必要があると判断した。

 枝野幸男官房長官は10日午後、記者団に「最終段階の詰めをしている。(発表は)そう遠くない」と説明。20キロ圏外の一部が警戒区域に含まれる可能性は「どの範囲をどうするか詰めている」と述べるにとどめた。

 これに先立ち、福山哲郎官房副長官は10日午前のフジテレビ番組で「(一時帰宅の)前の段階として、市町村と相談して警戒区域に設定する必要があるという認識だ」と明言した。

 警戒区域は、市町村長が災害対策基本法に基づき設定するが、原子力災害対策特別措置法により国が指示できる。防災関係者ら以外の立ち入りを禁止したり、退去を命じることが可能。従わない場合は罰則規定がある。福島県は既に警戒区域設定を認めるよう国に求めている。

 福山氏は一時帰宅に関して「重要なものを取るために1〜2時間戻っていただき、その後の除染措置や(放射性物質の有無を調べる)スクリーニング計画もしっかり立てる」と説明。実施時期は「風向き、原発の状況をみて判断する。早くやっていきたい」とした。

 半径20〜30キロ圏内の同心円状に出している屋内退避指示は、風向きによる放射性物質の飛散状況を踏まえ、拡大を含めて再検討すると表明。建屋外の立て坑にたまった高濃度の汚染水を復水器に移送する作業に関連し「注水しているから水はたまる。第2、第3の方法を並行して考える」と述べた。

校庭の放射線量、1648か所の速報値発表

2011年4月9日 提供:読売新聞

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、小中学校や幼稚園などの校庭で放射線量を測定してきた福島県は8日、全1648か所の速報値を発表した。

 最も高かったのは、浪江町の津島小学校で毎時23・0マイクロ・シーベルトだった。県は、結果を基に子供たちの屋外活動の可否を判断する方針だが、現状では基準がないため、国に基準を示すよう求めている。

 発表によると、5-7日、子供の屋外での活動を想定して地面から高さ1メートルの地点で測定し、浪江町の3か所で同23・0-18・8マイクロ・シーベルト、飯舘村の7か所で同14・0-8・3マイクロ・シーベルトとなった。

 これら10か所のうち9か所は子供が避難して現在は使用されていない。残る1か所の保育所は子供がいるが、屋外での活動を控えており、県生活環境部では「当面は問題はない」と説明。このほかの市町村については「直ちに健康に影響するレベルではない」としている。

 測定は、福島第一原発から半径20キロ圏内の4町を除く55市町村の全ての小中学校と幼稚園、保育所、特別支援学校の校庭・園庭などで実施した。一般の人が自然界以外で浴びてもよいとされる年間許容量は1000マイクロ・シーベルト。