携帯電話、がん危険性?

 携帯電話、がん危険性も 限定的とWHO組織初指摘 長時間の本体接触避けて

【ジュネーブ共同】携帯電話の電磁波とがん発症の関連性について、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)は31日、「聴神経腫瘍や(脳腫瘍の一種である)神経膠腫(こうしゅ)の危険性が限定的ながら認められる」との調査結果を発表した。WHOの組織が携帯電話に関して発がん性を指摘したのは初めて。

 国際がん研究機関は危険性の数値化はしておらず、「(最終的な結果を得るためには)今後、携帯電話の長時間使用について調査を続ける必要がある」としている。同機関の分類では、電磁波による発がんの危険性について得られている証拠の確実性は、鉛やコーヒーと同じ部類に入るという。

 当面の対策としては「(耳に触れずに)携帯電話のメールを使うなど直接電磁波に触れないような使用方法が重要だ」と指摘。なるべく携帯電話本体に触れる時間を短くするよう提案した。

 国際がん研究機関は、1日30分間、10年以上使用を続けている場合、神経膠腫の発症危険性が1・4倍になるとした過去の研究結果を紹介。

 発がん性の評価については(1)臨床的に十分な実証がある(2)臨床的には限定的な実証しかないが、動物実験では十分な実証がある(3)動物実験でも実証が十分とはいえない-といった段階分けをしており、今回は(3)に分類されるという。

 国際がん研究機関は昨年5月にも、日米欧など世界13カ国で脳腫瘍患者と健康な人、計約1万3千人を対象とした最大規模の調査結果を発表。この時点では「携帯電話の使用が脳腫瘍の発生の危険を増やすとは認められない」としていた。

 今回の調査は、過去の欧米での研究、動物実験などを14カ国、31人の研究グループが検証した結果をまとめた。近く医学専門誌に掲載される。

 

2011.06.01 記事提供:共同通信社