乳がんや卵巣がんの発生や進行を染色体の異常を修復して抑えるがん抑制遺伝子「BRCA1」は、マイクロRNAという物質を作り出すことでもがんを抑えていることを大阪大のチームが突き止め、9日付の米科学誌電子版に発表した。
マイクロRNAは微小なリボ核酸で、さまざまな遺伝子の働きを調節している。河合伸治(かわい・しんじ)特任准教授は「いろいろながんでマイクロRNAの異常が見つかっている。BRCA1が関わっている可能性があり、新しい治療薬の開発につながるかもしれない」としている。
チームは、がん抑制に関係する4種類のマイクロRNAの量をヒトの細胞で調べたところ、BRCA1を多く働かせた細胞では増え、BRCA1が働かないようにした細胞では減少した。
マイクロRNAは、「マイクロRNA前駆体」と呼ばれる大きなRNAが小さく切断されて作られる。チームは、BRCA1の働きで作られたタンパク質がマイクロRNA前駆体とくっつくことを発見しており、がんを抑制する特定のマイクロRNAが作られるよう制御しているとみている。
※米科学誌はジャーナル・オブ・セル・バイオロジー