細菌感染、発熱で攻撃する体の仕組み解明
 

 感染すると、発熱して細菌などから身を守る体の仕組みを、大阪大医学系研究科などのグループが突き止めた。

 科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ電子版に9日、発表する。

 グループは、白血球の一種で、体内に侵入してきた病原体を食べる好中球を調べた。好中球は活性酸素を使って異物を殺す。活性酸素をつくるには、水素イオンが必要だ。

 水素イオンは、好中球の細胞膜にある「水素イオンチャネル」というたんぱく質が通り道となって、細胞内から供給される。二つのイオンチャネルが結合して働くことはわかっていたが、仕組みは未解明だった。

 グループは、マウスのイオンチャネルの結合部分を特定し、構造を解析。結合部分には、たんぱく質のかけら2本がらせん状に絡まっており、体温と同じ37度でほどけ始めた。40度になると完全に離れ、水素イオンを通す量が増えた。

 活性酸素の生成が通常は抑えられ、病原体などに感染すると発熱してイオンチャネルが開き、大量に作られるとみられる。

2012年5月9日 提供:読売新聞